今日の読書 VW不正と中国・ドイツ経済同盟/真壁昭夫

フォルクスワーゲン社の不正事件というのは、なかなかインパクトがあるもので、ドイツ車これからどうなるんだろうとか、ちょぷど事件発覚直後に東京モーターショーに出かけたから余計に思ったりもしたんですよね。

まさか、その後日本で三菱自動車が派手にやらかしたり、スズキ自動車が試験結果に不正が発覚と思ったらば、正式な方式で試験をしたらばかえって結果が良くなったとかわけの分からない事になるとはおもいませんでしたが。

フォルクスワーゲン社による不正はタイトルに使われてはいるものの、そこに力点を置いたものではなく、リーマンショック後に露骨に弱体化しているアメリカが、世界の警察官扱いでやって来た事に陰りが見えてきて、そこに新たに台頭してきている中国がドイツと組んで世界秩序に変化をもたらそうとしているという事を分析しているものですね。

アメリカの弱体化というのは、今更ですし暴走した新自由主義というか、金融立国の失敗であるとか、累進課税の累進制を奪って財政難になっているとか、かといって失敗を修正しようにも全体を俯瞰して政策運営ができず、それぞれが自分の支持母体のためだけに動いているという、ある意味民主主義の限界であるとかがぼろぼろと出てきているという事。

そして、弱体化したアメリカというのを踏まえて覇権主義傾向の強い中国とドイツがそれぞれきな臭く動いていますよというものですね。

中国の覇権主義、武力でやりたい放題というのは日本人ならば嫌でも目にするもので暴力的な国家であるリスクは重々承知できているものだと思いますが、最近はドイツに関しても覇権主義で暴走しているという分析をしているものをよく目にするようになったなぁというのは個人的な感想。

EUで一人勝ち状態のドイツがドイツ的価値観で全てを決めようとしているというのは、私も理解していて、財政破綻状況のギリシャに対し、緊縮財政こそ正義と頑なにルールで縛り上げているというあたり、頑なな態度をとり続けている間に、さらに経済を悪化させていて、手段と目的とごっちゃになっているなぁというのは感じます。

まぁEUの場合、統一通貨であるユーロを採用した時点で、それぞれの国で独自に金融政策が出来なくなったり、財政政策も国の判断でやれなくなったりと、景気対策がほぼ出来ないじゃんという状況ですからね。

ギリシャを擁護する気はないですが、ユーロという統一通貨を作った時点で、上手く回っているときは良いけれども、上手く回らなくなると何もかもダメになるという装置ですからね。

アメリカの弱体化、中国とドイツの覇権主義的思考と、両国とも景気不安が内在化していてこのままだとまずいという中、利害の一致があって緊密になっていて、これからアメリカを中心としたTPPという緩やかな連合と、中国とドイツの連合がアフリカを切り崩す形でブロック経済化していくんじゃないか、そういったリスクを考慮していかないといけない世界になるだろうなと。

アメリカがいろいろと弱体化していて新自由主義も限界が見えてリスクだらけだけれども、中国とドイツの覇権主義的思考のリスクはこれだけありますよという提示であり、日本は慌てずに自らの技術力を高めておきましょうという、落としどころとしては無難も無難な感じですかね。

今の時代、大々的な大国同士の戦争というのは得る物がなさ過ぎて、せいぜいテロとの戦いまでだろうし、そうなると、明確な勝ち負けであるとか、明確な決着というのもつかなさそうでもあり、ただただ混沌とした世界を頑張って生き抜こうになってしまうのも、また限界なんでしょうが、じゃあこれから戦争が起きるぞと煽られた方が良いのかというと、もちろん違いますが、緩やかなブロック経済化というかアメリカ陣営と中国とドイツ陣営というのがくっきり分かれたとするならば、冷戦時代ほど分かれた陣営で交流がなくなるというわけでは無いけれども、若干それに近い感じになるのかなぁと。

一極集中から多極化という分析はそれはそれでいのですが、戦後から続いた一極集中というと、冷戦時代がスルーされすぎているのはひっかかりました。


プロローグ 21世紀は中国とドイツの時代へ
       一極集中から多極化の時代へ。
       中国とドイツの共通項比較
       世界経済の支配者か、破壊者か

第1章   米国の影響力低下で世界秩序は不安定へ
      1 分岐点となったリーマンショック
         リーマン救済をしなかった米国の失敗
         3度の量的緩和は有効だったが・・・
         米国主導の経済運営は限界か
      2 新たなリスクとなってきた米国の財政不安
         債務上限が顕在化させた米国の政治リスク
         財政の崖を巡る泥仕合
      3 米国のリーダーシップの弱体化
         国内支持の低下と内向き化
         進む国際社会における米国軽視
         経済における米国への批判と離反が進む
         米国の影響力低下が中国への期待を呼ぶ

第2章   共産党政権の生き残りをかけた中国の経済運営
      1 政府が主役の中国経済
         リーマンショックの後遺症に悩む中国
         シャドーバンキング問題という爆弾
         中国政府が意図しなかった株式バブルの発生
      2 シルクロード経済圏構想の行方
         シルクロード経済圏構想の狙い
         国益に直結したAIIBの本質
      3 人民元切り下げの真意
         輸出のテコ入れと景気刺激
         人民元の国際化がもたらす恩恵
      4 中国の「新常態」と「一人っ子政策」廃止
         「新常態」の本質は「人口問題」
         一人っ子政策廃止は間に合うか
      5 バブル経済の崩壊リスク
         不良債権が増加し、売り圧力が蓄積された株式バブル
         崩壊が始まった資源バブル

第3章   世界浮上を狙うドイツ経済の強さと弱さ
      1 ドイツが牛耳る欧州経済
         勤勉な国民性と高い国際競争力
         経済哲学を他国に強要するドイツ
      2 移民・難民問題とドイツの目論見
         人口減少に悩むドイツが進めた移民政策
         移民政策を高度化させる近年のドイツ
         移民を受け入れるドイツの思惑
      3 新たなドイツが挑む「インダストリー4.0」
         ドイツ製造業の飛躍を目指すインダストリー4.0
         インダストリー4.0は金融依存経済への決別
      4 フォルクスワーゲン不正の内幕
         自動車業界史上最大のスキャンダルへ
         世界一実現の過程で不正は進んだ
         フォルクスワーゲンとドイツは一種の運命共同体
         環境規制に働きかけてきたドイツ
         不正が浮かび上がらせるドイツの行動様式

第4章   経済で結びついていく中国とドイツ
      1 沈みゆく中国、浮上を狙うドイツ
         地盤沈下し、包囲されていく中国
         中国に歩み寄り、浮上を狙うドイツ
      2 経済理念を共有し始めた中国とドイツ
         中国版イノベーションはインダストリー4.0に酷似
         イギリスの中国接近がドイツをさらに煽る
      3 フォルクスワーゲン不正で加速する蜜月化
         フォルクスワーゲンは再び命運をかける
         中国・ドイツ経済同盟の誕生
      4 中国・ドイツ経済同盟の衝撃
         起死回生の挽回策は自動運転技術
         シルクロード経済圏構想はドイツにも有益
         中国・ドイツ経済同盟はアフリカを狙う

第5章   世界恐慌のリスクと日本の進むべき道
      1 中国・ドイツ経済同盟は「世界経済の支配者」に近づく
         拡大する経済同盟は「最強」にして「最凶」
         イノベーションとアフリカ市場開発で需要を創出か
      2 浮かび上がる世界恐慌のリスク
         ブロック経済化は世界経済の足を引っ張る
         制御不能へ?新たな中国リスクの発生
         中国・ドイツ経済同盟の終焉シナリオ
      3 日本の進むべき道
         情報技術と製造業の融合に乗り遅れるな
         最後は技術力しかない
         TPPを競争力向上に活用する

エピローグ まだ止められる
       多極化の流れの中で存在かを放つ中国とドイツ
       中国経済の崩壊を止めよ
       中国政府の暴走を止めよ

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