今日の読書 江戸を造った男/伊東潤

明暦の大火の材木買付や海運航路の開発、治水工事など戦国の世が完全に一段落ついた江戸時代初期の商人、河村瑞賢を主人公にした歴史小説になります。

伊東潤の作品は敗者を上手く描くことが多いのが特徴にもなっていますが、今作は歴史上の敗者ではなく教科書で教えられるような有名人ではないが、日本の公共事業にとってなくてはならない存在とも言える商人の波瀾万丈の生き様を描いた作品になります。

正直、私は存在を認識していなかったんですけれどもね。

商人という立場ながら、保科正之であるとか新井白石に一目置かれる存在で、商人というと良くも悪くも自分が儲けることそのものを目的化していくイメージがついているものですが、そうではなく経世済民という本来の意味での経済を分かっている存在としての商人の話ですね。

私利私欲に溺れるのではなく、災害や飢饉などで食えなくなり死んでいくものを、しっかりと食えて働ける土台を造ることそのものに力を入れ、物流や治水をしっかり整える、インフラ整備の重要性が分かっているからこそ、それに全てを賭けた人生としている。

インフラ整備や公共事業は昨今では無駄な公共事業という扱いをとかくされやすく、コンクリートから人へなんていうのがもてはやされたこともありますが、悪いのは意味が無い本当の意味での無駄を造り出すことであり、いつの間にか無駄な公共事業が公共事業は無駄というような扱いに入れ替わっていて、それは違うだろうというのがあったり。

川の氾濫なんていうのは現代でも台風の被害が毎年どこかで起きていたりするものですが、江戸時代は現代よりも被害も大きく、また今と違い重機がなく人力でやらなければいけないため重労働で命がけ、成功の恩恵は現在の価値基準以上に大きいというものになりますね。

なかなか公共事業そのものをメインに据えた歴史溶接というものは少ないので、それだけでも目新しくて面白かったですし、私利私欲で行動する経営者あたりには見習って欲しいと思う作品だと感じましたね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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