今日の読書 崇徳院を追いかけて/鯨統一郎

作者のデビュー作になる『邪馬台国はどこですか?』のシリーズ最新作となりますが、シリーズとしては同じでも構成としてはかなり別物であり、初の長編になります。

『邪馬台国はどこですか?』はお酒よりもおつまみの方に力が入っている感じのするバーであるスリーバレーで、新進気鋭の美人歴史学者である早乙女静香が肩書きとしては取り立てて目立つものの無い宮田六郎と歴史談義をし、歴史解釈を通説とは全く別物に着地させるという歴史ミステリー小説の連作短編集となっています。

続く『新・世界の七不思議』は前作が基本的に日本史ネタだったものを、世界史ネタにしたものであって、基本構造は同じ舞台はバーでひたすら議論するだけのもの。

しばらく新作が出ないままもうシリーズは終わったのかと思っていたところに出た前作の『新・日本の七不思議』は早乙女静香と宮田六郎のの関係に大きな変化があるだけではなく、それまでバーで議論していただけの話がバーから飛び出して旅行までして現地で歴史談義をして新説を見せるというもので、シリーズの形を崩したもになり正直戸惑いました。

今作はさらに形が崩れて長編になり、時系列としては前作よりも前の出来事、2人の関係性が変化した理由を見せるということにもなるもので、さらに議論だけしていたのから殺人事件にも巻き込まれるというもので、その事件の背後には日本最大の怨霊である崇徳院と西行が絡んでいるという事件と歴史解釈を同時に解くというベタな形式の歴史ミステリー小説になっています。

それこそ、このタイプはこのシリーズのスピンオフというか、別のシリーズキャラクターである桜川東子を共演させた『全ての美人は名探偵である』『邪馬台国殺人紀行』と同じ構成になっています。

このシリーズが今後どうなるのか分からないので何とも言えないのですが、シリーズ内の別物作品と言えるものでして、歴史解釈を議論して通説とは全く別物に着地させるという手法の作品は続けるのが難しすぎて限界なのかなというのと、同時に前作があまりにも唐突に関係性を変化させたので理由を書いておいた方がいいから書いたというのと両方ありそうだなぁと。

作品単独として読むのならば、ありではあると思うのですが、シリーズとして期待しているとなると定番のバーでの議論となるので残念に感じてしまう。

議論だけで話を転がすのは、桜川東子のシリーズのようにほぼ懐かしいものをネタとしたバカ話主体ならばやりようがあるけれども、歴史ネタ限定となるとそうそう驚かせるようなネタを作ることは出来ないということなんだと思うしかないですね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

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