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今日の読書 戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊/川島博之

中国経済については、好きか嫌いかは横に置いて、影響力がありすぎる隣国であるがゆえに、楽観論から悲観論、敵対的に考えるか友好的に捕らえるか、または比較して日本はどうだというものまで含め掃いて捨てるほど扱われていると思います。

そのどれに食いつくか、よほど専門的に研究しようという人では無い限り客観性よりも、自分が望む方向性を恣意的に選んでしまうのが人情というものと思います。

私は恣意的にこれからは中国が来る!というようなものは避ける傾向が強まってしまったのは、マスメディアがそういう方向を喧伝し過ぎて辟易してしまったのと、ある意味中国脅威論であるとか敵対国家として想定しておいた方が良さそうと判断しがちなのは、共産主義国家の崩壊について調べていた時期があるからというのも影響していると思います。

中国について、どういう視点で分析するかは人によりけりですが、基本的には人口13億という巨大国家と言うことを念頭に置いて進めるのが一般的であると思います。

それが全て一体感のある国家ではないというのは、ぼんやりと認識はされているでしょうが、実は都市戸籍を持つ4億人と農民戸籍を持つ9億人とを別物として扱わないと本質が見えてこないというのが本書のテーマとなります。

都市戸籍がいわゆる一般的に日本で流布されてイメージされる中国人、例えば爆買いするために日本に来て景気が良い、もしくはそろそろバブル崩壊がやってくるかもしれないなどなど言われる人々。

それに対し、農民戸籍というのはいわゆる農村部の住民であり、都市戸籍とは完全に別物の貧乏人。

食うや食わずやの貧農から、貧しさに負けたとならないために都市部に出稼ぎ労働者として流入するも、出自の格差社会によって絶対に裕福な生活は待っていない、仮に都市部で生活するようになっても奴隷身分、総ブラック会社という状況であり、同時に何だかんだと故郷を大事にするような日本人とは別物で価値観は共有できない社会となっている。

この戸籍によって身分固定が平気で行われる、同じ国民という価値観を有しない社会構造をいろいろな角度で検証し、その国際的な影響、特に日本に与えた影響という意味では国家が認めた奴隷がいるために、日本に対して競争力で上回ることが出来、同時に日本の労働環境を破壊するに至った事の指摘。

またアメリカとの関係では中国側の問題だけではなく、アメリカという覇権国家は常に2位につけている国を叩き潰すことに全てを賭けている、冷戦時代のソ連を潰すためならば第二次世界大戦で敵国だった日本を立ち直らせ、同盟国として保護までするが、その同盟国となった日本が冷戦構造崩壊した瞬間に経済大国として2位の地位にいると、経済をボッコボコに破壊し同盟国だよね?っていうくらい手のひら返しを平気ですると言うこと。

アメリカの脅威になるという判断材料がでれば、何のためらいもなく狙い撃ちにするアメリカという覇権国家の事を考えれば次は当然中国が狙い撃ちにされるのは誰が大統領であろうと避けられない問題だと言うこと。

こういったことを分かりやすくコンパクトにまとめています。

個人的に面白かったのは農作物によって住民気質の傾向が決まるという物。

遊牧民が戦闘的になるというのは、ある程度前知識があるものでしたが、米作と麦作で気質が変わるというのは、今までに無い視点なので当たっているのかどうかは全面的に納得しきれない部分もありますが、面白かったですね。

米作というか田んぼは集団で力を合わせないと作り得ないものであり、そのため周囲と良好な関係を作り上げない限り上手くいかないため、穏やかな集団になる傾向があるが、麦は個人でも作ることが出来るため、家の間隔が広く取られ個人主義になるため、独立心が強まるものの、気が荒くなる傾向があるというものですね。

日本人が本当に温厚かどうかという問題では、日本の傾向を持ち上げすぎというように思えてしまいますが、周囲と良好な関係を作れない人間は排除されるという同調圧力が出来上がり、周囲に迷惑をかけるという事への嫌悪感が必要以上に強くなり、それが集団生活をおくる上で上手く機能するくらいでいいのかなとは思いますね。

また中国の問題として朱子学と科挙制度についても扱われ、朱子学についての問題点に関しては散々色々と目を通しているので目新しい発見は個人的には無かったのですが、科挙の問題点としてエリート官僚による現実から乖離した認識能力というのは分かっていましたが、科挙制度によって文民統治こそ正義、武官は永遠に文官の下に決定という価値観のせいで国民的英雄が出なくなった、日本の武士道やヨーロッパの騎士道に相当するものが一切育たず、軍人の腐敗に繋がっているという分析、日本の軍人は悪扱いで価値観固定している声の大きな人達が読んだらば発狂するなっていう分析もまた面白く読むことも出来ました。

中国の問題ではありますが、幅広い人に読まれることを想定して、日本の出来事に照らし合わせて分析していたりもするので、何気に日本の経済に関しても復習になったりと、一冊でなかなかお得に思える1冊になっているので、中国に対してどういうスタンスで物事を考えたいのかというのに関係無く目を通して損はないでしょうね。



序 章 中国奥地の異様な風景
第1章 農民から搾取する都市住民
第2章 中国軍が世界一弱い理由
第3章 田中角栄なき中国農民の悲劇
第4章 アメリカへの挑戦が早めた崩壊
終 章 日本と中国の2020年

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