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今日の読書 体育館の殺人/青崎有吾

第22回鮎川哲也賞受賞作であり、その後シリーズ化されていく、エラリー・クイーン型の論理を中心としたベタな学園を舞台にした本格ミステリではあるものの、館シリーズのパロディとなるタイトルを始めとして、いろいろと小ネタだらけなのですが、本格ミステリという軸そのものはガッツリとやりきっているものになっています。

名探偵が変人というのは本格ミステリにとどまらず、定番でもあるのですが、本作品からシリーズ化されていく裏染天馬は中間テストで満点を記録するような頭脳を持つ、アニメオタクであり、会話の中にちょいいちょいその手の会話が出て来て、最初に遭遇した時も今週の絶望先生を読んでいたところであるとか、マクロスシリーズを初代からフロンティアまでまとめて、それを踏まえて映画版の評価をどうするか語っていたとか、作品内の時代が分かる仕様になっています。

シリーズが続いて、時空が歪んでいる何て言うことも出てくるのかは現段階では分かりませんが。

そういった小ネタを楽しみながらも(私は元ネタ半分は分からなかったですが)体育館という大がかりな場所で起きた密室殺人事件、出入り口の鍵のかかり具合や、目撃者の存在などなどによって、不可能犯罪かのような状況を論理的にやりきろうというのがはっきりした作品になっていて、新本格ムーブメントによって一時この手の作品が一気に増え、それ故に今更密室という感じにもなっている中で、密室殺人事件を論理的にというのが受賞作になってきたというあたり、時代は回っているなと思わずにはいられないものになっています。

新本格の初期作品ですと、マニア気質は本格ミステリであって、大学のミステリ研究会というのが多かったので、当時の過去作普及運動的な気負いが全く無くなっているのも時代が回りきったという事にもなるのかなとは思いますね。

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