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今日の読書 わが殿/畠中恵

江戸後期、越前国大野藩当主で織田信長にそっくりという切れ者であった土井利忠に仕えた、内山七郎右衛門を主人公にした歴史小説になります。

畠中恵が歴史上実在の人物を使った小説を書くという事が一切イメージに無かったですし、土井利忠という存在も知らなかったので、完全に架空の物語なのかなと思ってしまったりもしましたが、きちんと元ネタもある歴史小説で驚きました。

内山七右衛門が殿に命じられて、藩の借金を返すために武士ながらも商人のように奮闘、単なる欲しがりません勝つまではであるとか、ぜいたくは敵だというような緊縮財政一辺倒では無く、収入源の見直し、そのための先行投資とややギャンブル要素高めながらも攻めの姿勢で奮闘していく様は、先見性がありすぎて、この当時に武士が商人のような真似を出来るかという所に、商人的な発想を持っている人物がいれば面白い物語が作れそうという発想で創作したのではないかと本気で思うくらいです。

畠中恵は時代小説の方でも商い関係のネタが多いですし、現代ものでは政治家ネタのものもあり、発想の柔軟性によってピンチを切抜けるというような話、固定概念や倫理的な価値観にとらわれていると失敗しかねないというのを上手く物語に落とし込んでいますが、そういう先行作があるからこそ、そういったノウハウを上手く歴史小説に落とし込んだなと思えて楽しめましたね。

幕末ネタになると、直接的に戦乱に関わった人物が取り上げられることが多いですが、まだまだ知られざる逸話を持っているネタってあるんだなと。

ひょっとしたら、私が無教養だから知らなかっただけという可能性もありますけれども。


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大野屋は最大37店舗の一大チェーンだったらしい

今年の夏大野に行って旧内山家も見てきたので、内山七郎右衛門良休と大野屋の歴史も展示で見ましたが、エンターテイメントの小説ではなく(お堅いはずの)博物館の展示で見てもかなり面白かったですね。
金融業まで手掛けながらガンガン出店攻勢をかけていく武士ってかなり斬新ですよね(笑)

Re: 大野屋は最大37店舗の一大チェーンだったらしい

金融業を手がけて出店攻勢をしかけていく武士なんて斬新過ぎて、歴史を知った現在から遡って、こういう武士がいたら面白いのではないかと考えた完全フィクションなんじゃないかというレベル過ぎる。
畠中恵が実在の人物を使う形の歴史小説を書いてこなかったから、余計にそう思えるところがあるにせよ特異すぎる存在。
博物館もあるくらい有名どころだったんですねぇ、類例がないだけに面白そうだな。

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