今日の読書 ニッポン樫鳥の謎/エラリー・クイーン
論理的な謎解きを軸とするいわゆる本格ミステリを語る上で外しようのない存在となっているエラリー・クイーンによる探偵エラリー・クイーンの国名シリーズ・・・に時節柄入り損ねた作品になります。
連載時には『The Japanese Fan Mystery』と『日本扇の謎』となるはずだったのが、単行本として発表時には『The Door Between』と全く別物になっていて、そういった経緯は残っているので、日本語翻訳では幻の国名シリーズ扱いで、タイトルも内容に即して『ンッポン樫鳥の謎』とすることになったという、当時の娯楽作品であるミステリ小説から歴史を学ぶことになるという。
国名シリーズは一応正式なものは既に全部読んでいますが(かなり前に読んでいるので個々の作品の内容は忘れていますが)いうほど国名関係ないよねという作品もあり、国名シリーズという縛りを作って頭を抱えたのではないかと思わずにはいられなかったり。
そんな中、時節柄日本を敵視しておいた方が良いというアメリカ国内の空気を読んでタイトル変更までした本作は、1920年代という今と比べて情報が限られまくった中ではかなり日本ネタを放り込んできて、日本を扱うことですら物珍しかった可能性が高い中、さらに琉球が日本の中でも独自性を持っているなんていうのまで入ってくるあたり、国名シリーズとして扱う国のネタを多目にぶち込んで作風に幅を持たせようという狙いがあったのではないかなと感じるくらいですね。
論理的な謎解きとなると、初期エラリー・クイーンと比べて弱くなっていますし、読者への挑戦状を挟み込むという手法も本作ではありませんが、日米間の関係性悪化というものがなければ注目されていた作品になり得たのかもしれないなと思ったりもしますね。
古典作品ですし、翻訳も古めなので読みやすくはないのが個人的に難点ではありますし、奄美大島も琉球扱いってどうなんだろうというのが気になったりもありますので、面白いという方向性が貴重な歴史的な史料扱いになってしまうところもあるのですよね。
連載時には『The Japanese Fan Mystery』と『日本扇の謎』となるはずだったのが、単行本として発表時には『The Door Between』と全く別物になっていて、そういった経緯は残っているので、日本語翻訳では幻の国名シリーズ扱いで、タイトルも内容に即して『ンッポン樫鳥の謎』とすることになったという、当時の娯楽作品であるミステリ小説から歴史を学ぶことになるという。
国名シリーズは一応正式なものは既に全部読んでいますが(かなり前に読んでいるので個々の作品の内容は忘れていますが)いうほど国名関係ないよねという作品もあり、国名シリーズという縛りを作って頭を抱えたのではないかと思わずにはいられなかったり。
そんな中、時節柄日本を敵視しておいた方が良いというアメリカ国内の空気を読んでタイトル変更までした本作は、1920年代という今と比べて情報が限られまくった中ではかなり日本ネタを放り込んできて、日本を扱うことですら物珍しかった可能性が高い中、さらに琉球が日本の中でも独自性を持っているなんていうのまで入ってくるあたり、国名シリーズとして扱う国のネタを多目にぶち込んで作風に幅を持たせようという狙いがあったのではないかなと感じるくらいですね。
論理的な謎解きとなると、初期エラリー・クイーンと比べて弱くなっていますし、読者への挑戦状を挟み込むという手法も本作ではありませんが、日米間の関係性悪化というものがなければ注目されていた作品になり得たのかもしれないなと思ったりもしますね。
古典作品ですし、翻訳も古めなので読みやすくはないのが個人的に難点ではありますし、奄美大島も琉球扱いってどうなんだろうというのが気になったりもありますので、面白いという方向性が貴重な歴史的な史料扱いになってしまうところもあるのですよね。
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