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今日の読書 国家と教養/藤原正彦

国民にとって必要な教養というのものはどういう事か、現在進行形として経験しているバブル崩壊以降長く続くデフレ不況の原因は、アメリカ主導の価値観新自由主義をグローバリズムとしてありがたがって受け入れてしまったこと、当時それを判断すべき世代が無批判に受け入れてしまった失敗を軸に、新自由主義という近代合理主義という比較的新しい概念という個人主義利己主義の批判、それ以前の古典を軸とした日本の相互主義的な価値観と明治維新以降受け入れ参考にしてきた近代ヨーロッパ、特にドイツの教養などなど照らし合わせて考察しているものになります。

教養を持つことは特権的なものであるが、同時に教養のある人が政治的なものに無自覚だとどうしようもなくがたがたになっていくというのを日本やドイツの例を挙げていたりしていますが、新自由主義に対する批判としては人文系の概念の希薄さを指摘していますね。

アメリカ批判の部分としては、古典としての概念がないという近代以降に作られた人工国家としての弱点と暴力的な建国についての欺瞞であるとか、人種差別的に黄禍論のように日本がアメリカを脅かすような優秀さを持っていては絶対にいけないという価値観を日本側が無自覚であったことなどなど、筆者の思想としては古典が綿々と続いている事こそが国家としての重要性であるという価値観が分かりやすいですね。

結論としては読書の重要性に結びついていくわけですが、それ以外でも日本の教養面の強みとして古典文学だけではなく現在のマンガやアニメなどなども触れていますし、教養とはどういう事だろうと私のように教養の無い人が興味を向けるには分かりやすい一冊になっていると思います。

第1章 教養はなぜ必要なのか
     「グローバル・スタンダード」の背後にある、「アメリカの意図」を見抜けなかった日本。
     情報の取捨選択を可能にする「芯」のない国は、永遠に他国の思惑に流される。

第2章 教養はどうやって守られてきたか
     アレクサンドリア、コンスタンティノープル、バグダッド。
     ギリシアの古典は西洋の外で守られ、やがてルネサンスとして花開く、
     「教養の歴史」を概観する。

第3章 教養はなぜ衰退したのか
     教養はアメリカ人にとって「自分たちが自らの意思で捨てたヨーロッパの遺物」である。
     資本主義、世界のアメリカ化、グローバリズムの進展で、教養の地位は墜ちていく。

第4章 教養とヨーロッパ
     教養主義のチャンピオンであるドイツがヒットラーを生んだのには理由がある。
     一般大衆を見下していた教養市民層には、政治意識と社会意識と社会性が決定的に欠けていたのだ。

第5章 教養と日本
     漱石の言うところの「上滑りの開化」を続けて来た日本。
     西洋崇拝に由来するその「教養」には、常に無理がつきまとっていた。
     戦前知識層の苦闘の足跡をたどる。

第6章 国家と教養
     現代の民主主義国家で求められるのは「孤高の教養主義」ではない。
     大衆の現実を踏まえ、政治センスも伴った、真に血肉化された教養である。
     「教養の四本柱」を提示。

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