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今日の読書 財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生/ステファニー・ケルトン

日本の選挙の争点として、財政赤字こそが諸悪の根源であり財政再建こそが閉塞した日本経済の復活を促すという事は与野党問わず一致しているものになっていて、誰も疑問を抱かないものになっていますが、現実はどうかというと財政再建を優先順位の筆頭にあげた小泉純一郎政権から民主党政権まで通して見事なまでに緊縮財政からのデフレスパイラルという不況のまま。

デフレスパイラル脱却をようやく公言した形のアベノミクスも、財政赤字放置は将来に責任を負わせるという事で2度の消費税増税という形でアクセルを踏みながら全力でブレーキを踏み込む事をし失速。

とかく財政赤字は諸悪の根源扱いをしやすいものですし、いわゆる主流派経済学である新古典派経済学の流れ、一般的には市場原理主義の方が通りがいいものの学説は政府の役割は財政赤字とインフレの抑制、あとは市場に任せて邪魔をするなというものになり、これはこれで暴論だというのは経済学知識がなくても市場ってそこまで万能じゃないよねという結論は導けるとは思っています。

しかし、どんな立場であっても財政赤字は悪だよねという事を払拭するのはなかなか難しく、不況下では政府が景気対策をすべきというケインズ系であっても、財政赤字は一切気にするなではなく、優先順位は財政赤字では無く失業率だから、景気対策でガンガン金を回して失業者減らして景気がよくなりゃ勝手に税収が上がって赤字も気にならなくなるという優先順位のつけかえまでかなと、ちゃんとは把握していないですが。

そんな中経済学としてのパラダイムシフトとして現在新たに生まれてきた理論がMMTという現代貨幣理論、通貨主権のある国、アメリカ、イギリス、日本、オーストラリアといったような国は自国通貨建てで債券を発行した財政赤字は気にすることはない、財源は尽きるものではなく、足りなければ作り出せば良いだけの話だというものですね。

日本を例にしても財政赤字が巨額なものになっているにもかかわらず、通貨の下落であるとかインフレが全く起きていないという事が傍証となるもので、通貨が金兌換を廃止した現在、通貨の供給量を固定する意味がなくなった、無闇矢鱈と赤字を増加させてもいいというわけではないが、完全失業率を無くすまで財政支出をしない限り、困るようなインフレは起きないという理論になると。

財政赤字は現在人質状態であり、いかに自分達の得になるように予算配分をさせるか勝負になっていて、そのために本来必要な医療、教育、社会保障などなどのインフラを削りあいになっていて、格差拡大と格差固定を促す事に繋がっている。

企業は完全雇用が実現すると、労働者の足元を見て賃金支払いが出来なくなり面倒なので、失業問題に対しては消極的になり、その結果が現在のような事になっているなどを見せておいて、完全雇用状況にほど遠い事のデメリット、完全雇用ができやすい社会の仕組みを作り出すこと、そこに財政赤字だろうと何だろうと気にせずに金をぶち込むことのメリットについて手を変え品を変え説明しています。

社会科学系の学問というのは絶対的な正解というのはありませんし、出発点が正しかったものが現実になると間違って運用されてダメになっていくというのもありますし、方向性は正しいけれども先鋭化してダメなところしか残らなくなったりとか、とかく最適値をだせないものだったりあり、MMT理論も果たしてどこまで信用出来るのか、机上の空論で終わらないかとなってしまうのですが、市場原理主義が大失敗した事が明らかになった現状、弱者保護を表看板にしている為政者はとりあえず飛びついてみる価値はあるかもしれないですね。

少なくとも日本では財政赤字こそ諸悪の根源として扱った結果、さらに経済は停滞したという実績があるので、無い袖は振れぬという思考から転換して、財政再建こそが正義ではなく完全雇用こそが正義、そのために金をただばらまくのでは無く、労働者が安心して労働できるインフラ設計をするとやれば、わりと飛びついてくるんじゃないですかね、少なくともパクリ元としてこの本にはそのための方策は乗っているので。

まぁ、財政赤字を家計の赤字と説明し続けていた政治家だらけの日本では、どんなに表看板が弱者保護だと力説している政党があったとしても、パラダイムシフトは無さそうですけれどもね。


日本語版序文 「財政赤字」こそコロナショックを脱する唯一の道である
序 章    バンパーステッカーの衝撃
第1章    家計と比べない
        神話1 政府は家計と同じように収支を管理しなければならない。
        現実  家計と異なり政府は自らが使う通貨の発行体である。
第2章    インフレに注目せよ
        神話2 財政赤字は過剰な支出の証拠である
        現実  過剰な支出の証拠はインフレである
第3章    国家の債務(という虚像)
        神話3 国民はみな何らかのかたちで国家の債務を負担しなければならない
        現実  国家の債務は国民に負担を課すものではない
第4章    あちらの赤字はこちらの黒字
        神話4 政府の赤字は民間投資のクラウディングアウトにつながり、国民を貧しくする。
        現実 財政赤字は国民の臣と貯蓄を増やす。
第5章    貿易の「勝者」
        神話5 貿易赤字は国家の敗北を意味する
        現実  貿易赤字は「モノ」の黒字を意味する
第6章    公的給付を受ける権利
        神話6 社会保障や医療保険のような「給付制度」は財政的に持続不可能だ。
            もはや国にそんな余裕はない
        現実  政府に給付を続ける意思さえあれば、給付制度を支える余裕は常にある。
            重要なのは、国民が必要とする実物的な財やサービスを生み出す、経済の長期的能力だ。
第7章    本当に解決すべき「赤字」
第8章    全ての国民のための経済を実現する

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