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今日の読書 浪華燃ゆ/伊東潤

大塩平八郎の乱でお馴染みの大塩平八郎が主役となる歴史小説になります。

大塩平八郎はそれこそ乱の首謀者という事しかイメージはなく、元々大坂奉行の与力であったというのは言われると思い出すという程度、それくらいの前知識しか無くても楽しめる内容ですね。

飢饉があったり、民が困窮、餓死者も出るような中、徳川の治政も長期化した事の歪みが露呈して時代、そんな中、与力という立場で悪を根絶した大塩平八郎は学問の重要性を考え行動していき、その先に待っていたのは乱を起こすことになったという事で。

悪を憎み、そのためにどうすれば良いのかと言うことで己にも厳しく謹厳実直で融通が利かないという大塩平八郎像を作り上げ、小さな気の緩みや些細な保身や権力欲から大きな腐敗へと繋がっていくという権力者の流れ出てくる腐敗と理想論からの正義の暴走という対立軸に終息していく形ですね。

権力の腐敗は憎むべき事で間違いはないのですが、そこを出発点として、でも腐敗と断ずるには強すぎる日常を守らなければならない小市民的な保身というのもあるよね、それを悪として全否定できるほど人間は正義を貫く事って難しいよねと、悪というものに対して全否定すべきものを提示しながら徐々に全否定まではできない悪というものを物語上は提示していくという流れに対して、大塩平八郎の掲げる理想や正義感はストイックに貫いていき、理想は素晴らしいけれども全ての人がそれを行使できるかというと無理じゃないかと、正義の暴走へと突き進んでいる感じで進んでいき、悪と正義が交わり立場が逆になっていく構成が現代社会の問題点とリンクさせている感じがしますね。

大塩平八郎の乱に限らずですけれども歴史上の出来事を現代の視点で善悪決めるというのは違う価値観上での出来事なので無理があるわけですが、基本的に大塩平八郎の乱はテロでしかなかったわけで、目的が正しければ行動も正しいと評価するわけにはいかない、そこのバランスを現代の価値観も使って表現しながら、上手くまとめ上げているので読んでいて楽しめました。

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