今日の読書 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件/倉知淳

特に何か共通のコンセプトを持たせているとか、一切そういうものがないミステリー短編集になります。

ネタ要素が強くブラックユーモアのショートショートっぽい作品や、人工知能が現在よりも少し高度に進展している状況下という微妙に近未来要素のある作品や、殺人現場が一体何の意味があるのか不可解な状況であるという本格色の強いミステリーなど、ミステリー短編集としてちょっとしたカタログになるようなヴァラエティーに富んだ物になっていますが、個人的には探偵として猫丸先輩作品が入っているのが一番嬉しい所ですね。

いわゆる新本格ムーブメントの中で、数多の探偵が生み出されましたが、その中でもトップクラスに好きな探偵になる猫丸先輩ですが、寡作過ぎて続編はないのではないかと思っていたので、とにかく短編集の中の1作品としてでも復活してくれて、変わらずの活躍をしてくれたので、それだけでこの短編集の価値が一気にあがるというものでした。

できれば、猫丸先輩作品だけで1冊埋まるものも読みたいのですが、作者が寡作過ぎていつまで待てば良いのかが・・・

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今日の読書 ディレクターズ・カット/歌野晶午

報道番組で若者の無軌道な暴走を扱うコーナーが評判になった下請けの制作会社のディレクター。

しかし、そのコーナーは下請けという満足いかない立場から脱却しようとする野心が暴走したやらせ番組だった。

そのやらせの現場にたまたま居合わせた、自意識は高いものの不器用で蔑まされ鬱屈のたまった美容師が接触してしまったがために事件が転がり始めるという物語になっています。

歌野晶午はとにかくトリッキーな作品が多いので、どこに仕掛けがあるのか気にしながら読み進めないといけないという気持ちを持ってしまうのですが、そういったトリッキーな仕掛けもそうですが、現在のテレビの置かれている立場、SNS全盛のネット社会という感覚で事件そのものへの興味と、やらせなど倫理欠如のテレビ報道のある種のリアルさ、実際に中で働いている人の意識はともかく、外側から見るテレビ報道の倫理観欠如というものに対するネットでの批判論調という意味でのリアルさを上手く消化している感じであるとか、鬱屈のたまった美容師の孤独な感じが、肯定的な気持ちになるわけではないのですが、理解しやすいものがあったりして引き込まれます。

既存マスメディアによるネットに対する扱いといいうか、上から目線であるとか、倫理的に既存マスメディアの方が上であるかのような扱い、これに対して疑問を持っている人で、あまりミステリーを読んだことが無い人でトリッキーなミステリー作品という紹介を目にして敷居が高いと避けないで、読んでみると逆に敷居は低く楽しめるかもしれないですね。

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今日の読書 オリジン/ダン・ブラウン

『天使と悪魔』からはじまり、『ダ・ヴィンチ・コード』が世界的大ヒットになった、宗教象徴学を専門にするロバート・ラングトン教授を主役とするシリーズ5作目になります。

今回はスペインを舞台に、元教え子でコンピューター科学者で未来予測が出来ると評判のエドモンド・カーシュが人類最大の謎である「我々はどこから来たのか」「我々はどこへ行くのか」について研究発表をするといので招かれた事を発端に事件に巻き込まれるというお話です。

オリジンつまり人類の起源に迫るという事で、発表の前にキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の重鎮に今まで神によって作られたという宗教的な信仰を全て吹っ飛ばすと予告、いわゆる世界宗教、一神教だけではなく仏教やヒンズー教などにもその信仰を全て揺るがすだけの破壊力があるという衝撃の発表をするという事で注目を浴び、当然既存宗教は黙っていないよねという事で話は展開していく、ハリウッド作品にしやすい形での王道歴史ミステリーですね。

宗教を暴く手段として人工知能が活用されたりし、宗教と科学を対立概念として扱うだけではなく、本当に相容れない対立的なものなのかというのを散々煽っていたりします。

個人的には宗教の発展について語られる時に、多神教から一神教へとスライドしていく、神の存在を信じているものに対し、じゃあギリシャ神話の神々を信じているかというと信じていないというような流れが出てくるのは、多神教から一神教へ移行する事が真理かのように扱われていて、個人的に気分はよろしくないですが、まあ一神教の文化で当たり前の地域はそうなるよなって。

あと、世界的な宗教に対して接触を試みたというような流れの中に、神道は欠片も出てこなかったので、ローカル宗教は扱いが悪いなぁって思ったり(苦笑)

このシリーズは歴史ミステリーの要素が多分にありながら、詳しい分野でなくても分かりやすく敷居を低く設定されていて、映像的な描写が多くテンポ良く読み進められるので、さすが世界的大ヒットシリーズだよなと思えますね。


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今日の読書 ハーメルンの誘拐魔/中山七里

『切り裂きジャックの告白』から始まる刑事犬養隼人シリーズの3作目であり長編の2作目になります。

タイトルにあるように今回は誘拐事件、ハーメルンとタイトルについているだけで、ハーメルンの笛吹き男が関連するだろうと予測しやすいように連続誘拐事件になっています。

記憶に障害が起きている母子家庭の女子中学生が攫われた事件が発端。

貧乏家庭の娘を誘拐して何が目的なのか分からないが、記憶に障害がある被害者というのは誘拐犯にとっては都合の良い人材であるという特殊性があるということで、いろいろな可能性が考えられていき、そこから事件は単なる誘拐事件以上になっていくというもの。

『切り裂きジャックの告白』では人体の切り裂き具合の手際の良さから医療関係者が事件に関わりがあると見なされますが、今回も被害者が記憶障害になった経緯から医療関係に絡む事件へとなっていて、このシリーズは狙って医療関係を絡めているんだなっていうのがよく分かるもになっています。

主人公の犬養は男の嘘を見抜くのは得意だが、女の嘘は見抜くのは苦手過ぎるというのがありますが、今回の事件解決には、それがもろに影響するものになっています。

どんでん返しの帝王と言われる中山七里作品らしく、最後の最後まで気を抜けたい展開でした。

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今日の読書 虚談/京極夏彦

元デザイナーで小説家、怪談は好きだが幽霊であるとか怪奇現象なんていうものは無いと身も蓋もないように言い切る、作者本人がモデルだよねって思わせる主人公が知人や友人から奇妙な相談を受けるという短編集になります。

現実なのか虚構なのかよく分からなくなるという種類のミステリーですが、幽霊が登場しているっぽいよねっていう相談を、そんなものはいないと断言しながら、じゃあ結局どういうことだったのというと、所詮は嘘なんだと結論づけるという流れなのですが、そもそもその嘘もどこからどこまでが嘘なのかはっきりさせない、読み手の受け取り方でどうとでもなるというもので、ミステリーならばすっきり結論が出て欲しいという人には受けが悪そうなものになっています。

私はこういう結局何だったんだか結論がよく分からないけれども奇妙な話という類いのものは嫌いではないので、これはこういうものとして楽しめますが、そうでは無い人には相談という名の雑談が、一定年齢以上には楽しめる物になっているんじゃ無いかなぁとは思います。

小ネタは世代的に自分より上の人向きだよなぁというか、京極夏彦と同世代以外でついて行ける人はマニアだよなってものになりますので、私はストライクゾーンから外れていますが。

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