今日の読書 捕獲屋カメレオンの事件簿/滝田務雄

生物、非生物を問わず真実を捕獲するという捕獲屋オフィス・カメレオンのコンビが依頼に応える形のユーモア・ミステリーの連作短編になります。

滝田務雄は全部の作品がユーモア・ミステリー扱いになりますけれども、比較的珍しいのは探偵役(今作は厳密には探偵ではありませんが)が気の毒な扱いではなく、特殊能力を持っているだけではなく、普通に頭も切れる元刑事であり、コンビを組む方がぞんざいな扱いを受けるということですかね。

設定がややトリッキーですが、気楽に楽しめる類いのミステリーですので、毛色の変わった作品として気楽に楽しめました。

シリーズ化は現段階ではされていませんが、シリーズ化してもおかしくないような作りですね。

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ジャンル : 小説・文学

今日の読書 孟徳と本初 三國志官渡決戦録/吉川永青

三國志の官渡の戦いを描いた歴史小説になります。

曹操と袁紹、元々は友であった2人が立場を違えて戦わなければならなくなったというものを、互いをよく分かっているからこそ、生まれや立場の違いからくる得手不得手や思考傾向を前面に出して、ギリギリの状況でのやりとりというものにしています。

三國志関係のものは、基本全体の流れを扱うものが多く(諸葛亮の死までというパターンがありがちですが)長くて手を出しにくいというのがありますが、吉川永青は基本全体の流れではなく個人を主人公にする、いわゆる日本の歴史小説によくある形にしているので、とりあえず全体の流れを描いたものを読んだことがある身からすれば、新たな作品を読みたいなと思った時に手を出しやすいものにしてくれています。

あと、何気に三國志はその表看板にあるような三国鼎立状況になるよりも、その前の混沌状況の方が、より個人の活躍そのもので大きく状況が変化するという意味でも面白かったりするわけで、官渡の戦いというのも三國志の流れの中に有りながらも、表題的には前日譚の中では最後の大一番扱いということになり、なかなか面白いものになっていて、これだけで1つの小説にまとめるというのも面白味がありますね。

吉川永青の三國志では、基本劉備は博奕打ちな渡世人扱いで、いわゆる三国演義での徳の高い主役扱いとは別物で、今回も曹操と袁紹が戦わざるを得ない、しかも単に戦うだけではなくその後々まで計算しなくてはいけないために、厄介な状況に陥ってしまうというのを演出したというか、巻き込んだ元凶扱いになっています。

ですので、劉備好きは面白く思わなかったりするかもしれないですね。

また、とかく名家出身で大軍を誇っていながらも曹操相手に負けたという事から、優柔不断で能力も血筋だけのような扱いをされがちな袁紹が、そういった評価は評価として残しながらも、名家という血筋だからこそ思い切ったことが出来ないであるとか、部下がそれぞれの思惑がありすぎたりで、派閥が出来てしまっている組織をまとめる苦悩というものが重くのしかかっているという、能力だけではどうにも出来ない状況であるという事をかなり強調しています。

それを全部ひっくるめて、乱世向きでは無かったという事になりますが。

あと、この作品の独自性としては郭図が袁紹を裏切って独自の目論見で動いているという事であり、曹操も袁紹側に裏切り者がいると早い段階で目星が付いているからこその駆け引きというのが軸になっていたりもします。

ある程度、通説としての流れを知った上で読んだ方が楽しめる作品かもしれないですね。

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今日の読書 和気有町屋南部署 デカは死ななきゃ治らない/滝田務雄

名探偵が犯罪に関わった人達を集めて造った町である和気有町。

そこの警察署である屋南部署の刑事達は変人達の吹きだまりであり、そういうものとして黙認されている状況。

その刑事課課長が目覚めたら記憶喪失だったという所から始まる、連作短編型長編の推理小説になります。

基本的にひとつひとつの事件を片付けながら、それらの事件には黒幕がいるということに気付いて、その真相に迫るというものですが、基本変人の吹きだまりの警察署ですので謎解き要素もありますが、ほぼほぼバカなやりとりに力が入っています。

滝田務雄の作品は全般的にそういう傾向が強いですが、設定を奇抜にした架空の町を造りだしたという事で、さらに針が振りきれていますね。

バカに針が振りきれてはいますが、それぞれの事件が積み重なった結果で真相にたどり着くように丁寧に作られてはいますので、単なるバカ作品ではなく、表面だけでそう扱うのは違うかなとは思います。

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今日の読書 金沢城嵐の間/安部龍太郎

関ヶ原の戦いから数年後、徳川家康が着々と地盤固めを薦めている中、その地盤固めに巻き込まれる事になっている、筑後柳河、伊賀上野、越前福井、加賀金沢、長門萩、豊前中津で起きたお家騒動を扱った歴史小説の短編集になります。

関ヶ原の戦いが終わり、一時の平和な時代となるものの見せかけの平和として権謀術数が渦巻き、武士が武士として生きることが難しくなってしまったなか、どう意地を見せるかというのが、それぞれの話の中心になります。

扱っている題材が題材ですので、戦国時代を舞台とした歴史小説としては登場人物の知名度も込みで地味ですが、いわゆる有名どころの景気の良い話とは毛色の違うものとして楽しめる要素はあります。

ただい、本気でよく知らない人が主人公となるのが困りどころですね。

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今日の読書 とるとだす/畠中恵

病弱な若旦那と愉快なあやかし達が繰り広げるファンタジー時代小説の『しゃばげ』シリーズの16弾目になります。

今回は、若旦那の父である籐兵衛が突如倒れてしまい、その倒れてしまった事によって長崎屋が主人不在となってしまったという影響によって引き起こされる騒動と、何とか父の体調を元に戻そうと考えようとしているという2つの柱が絡み合った連作短編型集となります。

いきなり父親が倒れてしまうと言う不穏な話から始まるので、シリーズとして大きな変化が加わるものになるのかと思いましたが、基本このシリーズは長期化してからはできるだけ続行させようという流れになっているので、その流れを踏まえた流れになっていますね。

シリーズを畳にかかる話が出て欲しいというわけではないのですが、初期の頃には結構意識的に何かしらの着地点があると匂わせていたシリーズだけに、このまま普通に続いていくシリーズとなる事が果たして良い事なのかどうなのかと、ちょっと考えてしまうのは、新作を読むたびに繰り返していることになりますね。

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