今日の読書 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは/歌野晶午

トリッキーな本格ミステリーを得意とする歌野晶午が、江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』『人間椅子』『陰獣』というような作品を下敷きに現代にリメイクした短編作品集になります。

作品の舞台を現代に置き換えたというだけではなく、作品内で江戸川乱歩の作品が登場してきて、その作品内に出てくる出来事と似ているというような事が語られたりしていたりと同じ題材を使ったリメイクではなく、踏まえた事件であることが自覚されているからこそ起きた事件であったり、元ネタの作品よりもさらに最後の最後までひねってきたりと、歌野晶午らしい詰め込み具合だなと思えますね。

元ネタとなる江戸川乱歩の作品を知っていれば楽しめる範囲が広いとは思いますが、知らなくてもそれはそれで楽しめるものになっています。

実際に私は元ネタを全部読んでいるわけではなかったのですが、知らないものも大丈夫だったので。

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今日の読書 鏡の迷宮、白い蝶/谷原秋桜子

行方不明になった父親を探すために金を貯めるためにアルバイトをしては事件に巻き込まれることになる女子高生倉西美波を主人公とした青春本格ミステリーシリーズの前日譚となる連作短編集第2弾になります。

前日譚となる前作の『手焼き煎餅の密室』で、作者が実は素性を伏せているけれども愛川晶というのを、分かる人が読めば分かるかのようにしているくらい寄席関係や、年寄りが探偵役であったりと作品傾向を寄せていっているなぁというのは、先に謎解きをしっていて読んでいるからですね。

認知症ネタまで入ってくると余計に強く感じたりもしますが、そこまで狙って謎解きさせようとしていたのかと深読みしたくもありますが、正体を明かしたときにはキャラクターの流用疑惑が出てきたからというので、そこは狙ったものではなかったというのは正体を明かした時に書かれてもいるので、なかなか難しいんだろうなぁと思ったりもしますね。

前日譚としてもう少し続けるのか、本編を進めるのか現段階ではこれでシリーズが止まっているようなのでどう展開するのか(展開しないのか)気になります。

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今日の読書 姫神/安部龍太郎

倭国、新羅、高句麗、百済の4国に平和をもたらすために、聖徳太子が遣隋使として小野妹子を送る事になるが、そのために九州の宗像が重要な役割を果たすことになるという歴史小説になります。

朝鮮半島では新羅、高句麗、百済が戦乱の状況で、倭国も百済と手を組んでいる任那が新羅に侵略されて百済もろとも危険な状況でありながらも、それぞれの立場上引くに引けないという泥沼だと。

歴史小説は数あれども、この時代を舞台にする歴史小説というのは少なく、資料が少ない時代ですのでほぼほぼ創作に頼るわけですが、日本書紀をベースにしていながらも自由度が高い歴史上に名を残しているわけではない宗像の住人達を軸に話が進んでいるので、どこからどこまでが史実とされていることを踏まえていて、どこからどこまでが自由に書かれているのかは分からなかったりしますね。

まぁ、三韓征伐以降の話とかなると、歴史の扱いとしていろいろと面倒臭い話に巻き込まれそうだったりもしますしね(苦笑)

外交として仏教を取り入れなければいけないというところから、仏教の価値観を行動原理につかいながらも、同時に沖ノ島の田心姫神、大島の湍津姫、宗像の市杵島姫神という天照大神の3人の娘が降臨した島の信仰という神仏混交した宗教観が軸になってくるあたりは、あまりお目にかからない類いのものなので楽しめる部分は多々あります。

が、やはり戦国時代や幕末のように数がありすぎる歴史小説などに比べると元ネタとなる歴史をよく知らなかったりするのは、読んでいて分かりにくいなと感じてしまう部分ですかね。

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今日の読書 手焼き煎餅の密室/谷原秋桜子

行方不明になった父親を探すために金を貯めるためにアルバイトをしては事件に巻き込まれることになる女子高生倉西美波を主人公とした青春本格ミステリーシリーズの前日譚となる連作短編集になります。

美波がまだ中学校時代、父親はすでに行方不明済みであり本編ではすでに亡くなっている隣に住む水島のお祖父さんは健在であり、安楽椅子探偵の役割を担っています。

短編はその時代からすでに親友となっている美波と直海は一緒になって登場しますが、本編では重要な役回りの修矢は高校生として別枠で主人公として事件に巻き込ます。

谷原秋桜子は愛川晶が素性を伏せた別名義だったわけですが、寄席関係の話が強くなってみたり、安楽椅子探偵役がお祖父さんであったりと、分かった上で読んでいるとむしろ正体に気付く人がいると面白いというような気持ちが前に出てきていたのかなぁと勝手に思ってしまい別の楽しみ方もできます。

連作短編としてだけではなく、ひとまとめとしても楽しむことができる作品でした。

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今日の読書 砂の城の殺人/谷原秋桜子

行方不明になっている父親を探すために、アルバイトをして資金を貯めている女子高生の倉西美波が高額のアルバイト代に乗っかってしまったが故に事件に巻き込まれてしまうと言う青春小説の本格ミステリーシリーズの3作目になります。

この作品からいわゆるラノベのレーベルから出版されていたという形から抜け出し最初からどベタに本格ミステリーを出している創元推理文庫で発表されていて、本格ミステリー濃度は高めになっています。

バイトの関係で入った先の廃墟でミイラ化した死体を見つけてしまうというのが今回の主な事件になりますが、過去の殺人、親族内のゴタゴタ、事件現場の怪奇性、外部との連絡がとれない状況といかにもな要素が詰め込まれまくっていて、かなり狙っているなぁと。

愛川晶が正体を隠して名義を換えて書いた作品になるわけですが、同時期に愛川晶の作品はいかにもな本格ミステリー作品から神田紅梅亭寄席物帳シリーズのように日常の謎系っぽいノリの作品へと変化している感じがしましたが、いかにもな古典的な本格ミステリーっぽく詰め込んだ作品は名義を換えて書いていたのかと後追いで読んでみると感慨深くなりますね。

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