今日の読書 波濤の城/五十嵐貴久

銀座第一消防署の女性消防士が活躍する『炎の塔』の続編にあたる作品で、消防士の本業として奮闘するのではなく、客として豪華客船に乗り合わせたらば、その船が巨大台風に巻き込まれて大惨事になってしまうというお話です。

豪華客船による船舶事故というパニック小説という事で、映画『ポセイドンアドベンチャー』を着想として、20世紀以降に起きた巨大船舶事故の記録を元ネタに落とし込んで、台風という自然災害が事故の最大の要因ではあるものの、その裏に積み上げられまくった人災、無茶な航行、政治的要因による進路変更、経費削減のための人員削減、安全管理費削減、過去の成功体験だけを重視した傲慢、安全面での危機管理能力ではなく、自己保身のための危機管理能力などなど、ある意味こういったパニック小説としてはベタな上がダメだから現場が苦労するといった展開の作品です。

実際の事故の検証結果を元ネタにしている部分があるので、かなり狙って安全管理を真っ先に削減するような状況は危険だよという警鐘を強調しまくり、人員削減こそ正義という風になってしまう社会情勢に対して異を唱えたいというのが強く感じられる物になっていますね。

想定外の台風直撃という舞台が与えられていますが、こと人の命がかかった仕事となると、想定すべき範囲が考えすぎだろうというくらい神経質であってしかるべきという風潮にまでもっていきたいという意思を強く感じさせながらも、それを変に説教臭く作らずにエンターテインメントに持って行けている感じはして楽しめますが、コスト削減こそ正義という思想の人には気分が悪く感じるかもしれません。

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今日の読書 炎の塔/五十嵐貴久

21世紀のタワーリング・インフェルノを狙って書かれた、超高層ビル火災というパニック小説になります。

銀座に建てられた地上450mになる100階建ての豪華なビルが建設され、ついにお披露目の日となったが、このビルが絶対安全であるというはずが、無理な建設期間、無理なコスト削減などなど、細かなことが塵も積もれば山となる方式で積み重なり・・・となるもの。

大事になるように思えない所から出動要請によって出向いた、特殊な消防署でもある銀座第一消防署の署員達がたどり着いてみると、思いも寄らない大惨事へと向かうという、大惨事になる事が分かってはそういう話だと予告されているので分かるのですが、息詰まる展開となっていきます。

これくらいならば大丈夫というものの積み重ねの人災、安全に対するコスト削減はしてはいけないという警鐘も狙いとして込められているでしょうし、消防員という職業の過酷さと使命感を描こうという狙い、ビルに関わってきた人々、客として訪れてきていた人々など多くの人を巻き込んでいての人間模様などなど、多くの要素を詰め込めるだけ詰め込んで、それでいてエンターテインメントに仕上げていてかなり楽しめる作品になっていました。

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今日の読書 QED~ortus~ 白山の頻闇/高田崇史

怨霊など日本の隠された歴史の謎と現実の事件とを絡めた歴史ミステリーのQEDシリーズの本編後と本編前の2つの短編になります。

『白山の頻闇』は、棚旗奈々が妹の嫁ぎ先金沢へタタルこと桑原崇と出かけることになり、白山神社と白山比咩神社を回っていたらば事件に巻き込まれるという、ある意味様式美な展開。

白山に関する謎が事件を通して明らかになるというものですが、そういった楽しみと同時に本編終盤に一気に時系列をすっ飛ばした先が明らかにされたりしましたが、その間を埋めるものとしての楽しみの方が大きかったりします。

『江戸の弥生闇』は奈々が大学1年の頃オカルト研に初めて顔を出した時の頃の話で、浅草や吉原に関する闇と幽霊騒動についてのもの。

いろいろな意味で闇な話で大学生には結構重たいよなって思えましたね。

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今日の読書 皇帝と拳銃と/倉知淳

最初に事件が起きるところから始まり、犯人が分かった状態から始まる刑事コロンボの系譜となる倒叙ミステリの短編集になります。

死神のような薄気味悪い容姿とそぐわない名前の乙姫刑事とイケメンながら平凡な名前の鈴木刑事のコンビが事件を追うというものですが、基本犯人視点がほとんどをしめ、主観が描写されることのない死神のような刑事が何を考えているのか分からず、追い詰められていく感じが楽しめます。

刑事は不気味ですが、話全体が怖いという感じではなく良い意味で気楽に楽しめるあたり、倉知淳らしいと思えますが、もっと多作になってもらえないものでしょうかねぇ。

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今日の読書 ミステリ国の人々/有栖川有栖

有栖川有栖が日本経済新聞に連載していた、ミステリガイドになるエッセイをまとめたものになります。

ミステリ国の人々という、いかにもミステリ、推理小説に登場するような人物をとりあげて、普段あまりミステリを読まない人に力点をおきつつ、ミステリ好きにも十分面白がれるように配慮して紹介するというもので、もともと作家の出発点が自分の好きな本格ミステリというジャンルの復興狙いも兼ねていただけあって、こういった普及活動は慣れたものですね。

基本的にはすでにお亡くなりになった作家の作品をとりあげて、その中の登場人物シャーロック・ホームズや金田一耕助、エルキュール・ポアロといった超有名な名探偵。

ヴァン・ダインといった有栖川有栖と同じく作家と同名の名探偵の相棒兼記述役。

天藤真の『大誘拐』の柳川とし子のように誘拐される側などのように、単なる探偵紹介にならないように手を変え品を変え52人分紹介されています。

まぁ何だかんだと探偵役が多くなりますけれどもね。

紹介されているもの、全部面白そうになって読みたくなるのですが、問題は古典作品が多いので、現代とは違うというものを踏まえながら読むというエネルギーを使わなければいけないので、なかなか踏ん切れないというのがあるのが困りものなんですよねぇ。

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