今日の読書 スロヴェニアを知るための60章/柴宜弘、アンドレイ・ベケシュ、山崎信一

今年のユーロ・バスケットでスロベニアは初優勝を飾り、旧ユーゴスラビアはやっぱりバスケットボール強いよねという結果になりましたが、個人的にスロヴェニアというと旧ユーゴスラビアの国の中では認識するのに時間がかかった国であったりします。

ユーゴスラビア分裂時の内戦状況ではクロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナが中々の大惨事になって、悪い意味で早い段階で認識する事になり、この大惨事をするっと抜けて独立が出来たというのがスロヴェニアを認識するのが個人的に遅れたという事と、チェコ・スロヴァキアも分裂してスロヴァキアという国家も新たに出来たというので、ややこしくて認識しずらかったというのがあります。

私の場合、知識に大いに偏りがあるので国家イメージはスポーツが大半であり、あとは音楽ということになりますが、その偏った知識に入り込むにはスロヴェニアというのはサッカーとバスケットボールという私が認識しやすい強みがあり、そこから興味を惹きやすかったというのはあります。

旧ユーゴスラビアの中では位置として一番西側よりでスラブ系でありながらイタリアやオーストリアと国境を接し、ユーゴスラビアとしてまとまる前にはハプスブルク帝国統治下にあったということで、宗教としてはカトリックが大半をしめていたり、改めてユーゴスラビアが1つの国としてまとまるには無理があった背景が分かりやすいものとしてスロヴェニアもあるのですが、地理的にも文化的にも狭間にあるからこそ培われたもの、山に囲まれているという要因から培われたものと、あまり知られているものではないですがスロヴェニアという国は旧ユーゴスラビアの中でも異質感があり、関連する書を読んできた中でも面白い発見が多いですね。

サッカーに関してはJリーグに監督としてベルデニックやルス、選手としてズラタンやノヴァコヴィッチなど思いつきやすい選手がいたり、日本でも分かりやすく関わっていますよとアピールされていますし、このエリアスタディーズシリーズとしては珍しくスポーツに関して多めに扱っているので、バスケットボールも現役のゴラン・ドラギッチだけではなく、なつかし目のラドスラヴ・ネステロヴィッチの名前も出てきたりと、分かりやすくていいなと。

このシリーズは気楽に広めに1つの国について知ることができるので私のように大いに偏った知識しか持ち得ない者には助かりますね。

1 スロヴェニアという国

第1章 スロヴェニアはどんな国?――存在感のある小国
第2章 シンボル――スロヴェニアの国旗、国章、国歌
第3章 カルスト地方――地上と地下に広がる異形の世界
【コラム1】スロヴェニア産の白馬――リピッツァナー種
第4章 アルプス――豊かさをもたらす厳しい自然との共存
【コラム2】トリグラウ山――スロヴェニアのシンボル
【コラム3】スロヴェニアの温泉


2 歴史

第5章 中世のスロヴェニア――農民の面前で即位する統治者の伝統
第6章 近代スロヴェニア民族の成立――「イリリア」の名の下に
第7章 ハプスブルク帝国統治下のスロヴェニア人――「統一スロヴェニア」に向けて
第8章 第一次世界大戦中のスロヴェニア――ソチャ前線での戦いからユーゴ王国まで
第9章 戦間期のスロヴェニア――南スラヴ統一国家の中で
第10章 スロヴェニアと第二次世界大戦――分割と「内戦」
第11章 社会主義ユーゴスラヴィア時代――ユーゴスラヴィアの先進地域
第12章 独立への過程と「十日戦争」――ユーゴスラヴィアからスロヴェニアへ
【コラム4】アンゲラ・ヴォデ――反骨の精神を貫いた女性


3 多様な地域

第13章 首都リュブリャナ――竜伝説の市
第14章 マリボルとシュタイエルスカ――緑の丘陵とワインの郷
第15章 アドリア海とプリモルスカ(沿海地方)――地中海的スロヴェニア
【コラム5】ピラン塩田
第16章 ノヴァ・ゴリツァ――対立を乗り越えた国境の町
第17章 プレクムリェ地方――ムラ川の向こう側のスロヴェニア
第18章 ドレンスカ地方とノヴォ・メスト――シトゥラの町
第19章 ベラ・クライナ――スロヴェニアの白い異境
第20章 ブレット湖とボヒン湖――頑固さが守るスロヴェニア山岳地方の自然と生活


4 マイノリティとディアスポラ

第21章 スロヴェニアのナショナル・マイノリティ――イタリア人とハンガリー人
第22章 今はなきマイノリティ――ドイツ系住民
第23章 「見えざるマイノリティ」――旧ユーゴスラヴィア出身者
第24章 スロヴェニアのロマ――権利保障への道
第25章 ケルンテンのスロヴェニア人――民族意識と生活環境
第26章 イタリアのスロヴェニア人――「国境の向こう側の人」
第27章 アメリカのスロヴェニア人――アダミックからメラニアまで
第28章 アルゼンチンのスロヴェニア人――反ファシズムからの脱出と政治難民


5 政治・経済・国際関係

第29章 政治――小党分立による連立政権
第30章 経済――残る経済危機の傷跡
第31章 EUの中のスロヴェニア――旧ユーゴ諸国の優等生として
第32章 旧ユーゴスラヴィア諸国との関係――不可欠な地域協力
第33章 国境問題――ピラン湾をめぐって
第34章 観光業とその成長――自然と景観、文化・歴史の魅力
第35章 環境保護――全国環境保護プログラムによる近年の前進と課題
【コラム6】クルシュコ原子力発電所――共同所有の原発の過去と現在


6 社会・生活

第36章 食文化――グローバル化も悪くない
【コラム7】「国民的飲み物?」――ラデンスカ、コクタ
第37章 ワイン文化――「量」より「質」
第38章 ジェンダー――他者を認め、自分を知る
第39章 家族のかたち――伝統と多様性
第40章 宗教――国家宗教から多様な信仰の形態へ
第41章 学校教育――母語による教育がなしとげた飛躍
第42章 余暇とスロヴェニア人――「豊かな自然」がキーワード
第43章 名前と姓――起源の多様性
第44章 メディア――政治的・経済的影響による変遷とその現状


7 言語・文化

第45章 スロヴェニア語――背景と特徴
第46章 文学①――プレシェレンと詩人たち
第47章 文学②――現代スロヴェニア文学
【コラム8】ジジェク
第48章 映画――多様化する社会に対応して
第49章 音楽――生活の中にある、なんとも自己中心的な音の世界
第50章 建築――スロヴェニアが生んだ鬼才ヨジェ・プレチュニク
第51章 近代美術――19世紀末から第二次世界大戦後まで
【コラム9】リュブリャナ国際版画ビエンナーレ


8 スポーツ

第52章 スキー競技――歴史と自然に根差したナショナルスポーツ
第53章 サッカー――旧ユーゴ出身選手の活躍
第54章 スロウェニアのアルヒニスム――アルプスへの愛と情熱
第55章 球技大国――バスケットボールなど


9 日本・スロヴェニア関係

第56章 日本とスロヴェニアとの交流史概観――近藤常子に始まる100年の歩み
第57章 第一次世界大戦期のスロヴェニア人戦争捕虜――ヨーロッパの戦場から日本まで
第58章 日本にやってきたスロヴェニア人――様々な出会い
第59章 スロヴェニアにおける日本研究および日本語教育――好奇心とアカデミズムの接点
第60章 知られざる技術立国――進みつつある日本との経済関係強化

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今日の読書 南朝研究の最前線 ここまでわかった「建武の新政」から後南朝まで/日本史史料研究会監修 呉座勇一編

タイトルそのままに最新の南朝研究で分かった事を、過去定説としてきたものと照らし合わせ、過去定説化したものの理由を分析し定説が陥ってしまった錯誤とそれを検証し直した結果を新たに出していくというものですね。

正直私が歴史について詳しいわけではなく、定説も表面的な薄っぺらい知識しかないので、新たな説を出されても、それがどれだけどう評価出来るのかというと全く分からないのですが、全体としてこの時代を検証する上で囚われてしまっているものは、『太平記』史観と皇国史観であると分かれば、研究者ではなく一般人としてはいいのかなと勝手に思っておきます。

『太平記』は物語なので、一次史料として使えば間違いであるというのは重々承知されているにも関わらず、人物評価であるとか、それぞれの行動基準や当時の価値観というものについては、どうしても引っ張られるところがあって、それをそのまま裏付けるか、もしくは歴史は勝者によって書き記されるというものを意識して、書かれている評価とは全く別の評価を探そうとしてしまい過ぎるという、良くも悪くも引っ張られてしまっている事が多いというもの。

皇国史観に関しては、南北朝時代の正当な流れは南朝であると決めてしまったがため、足利尊氏は逆臣、楠木正成は希代の英雄というような評価が固定的にせざるを得なくなったり、明治から戦前まで皇国史観をより強めるため、南朝の正当性を強めるような歴史観を作り上げなければならなくなったり、逆に反動で戦後は皇国史観を真っ当ではないという価値固定化を出発点にし過ぎて、足利尊氏再評価と楠木正成は過大評価扱いなど行ってしまってきたというもので、皇国史観の呪縛からどれだけ逃れて歴史を見直せるかというのが重要になっていると。

南北朝時代が今ひとつ有名になりきらないのが、それこそ皇国史観の呪縛、第二次世界大戦を挟んでの極論から極論に振り切ってしまったという事があると思いますし、共に歴史のイデオロギー利用という意味では害悪でしかないよなぁと溜息をつきたくなりますが、好き嫌い横に置けば、歴史の政治利用というのは古今東西逃れられない物になってしまっていますし、だからこそ、歴史を知っておかなければいけないんだろうと思わずにはいられないですね。

この時代、入り乱れていて結構わけが分からない物になっていますが、エンターテインメントの題材としては埋もれさせておくには勿体ないと思うので、本当に政治利用されてしまっているのが勿体ないと。

はじめに──建武政権・南朝の実像を見極める  呉座勇一 

第1部 建武政権とは何だったのか

【鎌倉時代後期の朝幕関係】
1 朝廷は、後醍醐以前から改革に積極的だった!  中井裕子 

【建武政権の評価】
2「建武の新政」は、反動的なのか、進歩的なのか?  亀田俊和

【建武政権の官僚】
3 建武政権を支えた旧幕府の武家官僚たち  森 幸夫

【後醍醐と尊氏の関係】
4 足利尊氏は「建武政権」に不満だったのか?  細川重男

第2部 南朝に仕えた武将たち

【北条氏と南朝】
5鎌倉幕府滅亡後も、戦いつづけた北条一族  鈴木由美

【新田氏と南朝】
6 新田義貞は、足利尊氏と並ぶ「源家嫡流」だったのか?  谷口雄太

【北畠氏と南朝】
7 北畠親房は、保守的な人物だったのか?  大薮 海

【楠木氏と南朝】
8 楠木正成は、本当に〝異端の武士〟だったのか?  生駒孝臣

第3部 南朝の実像

【建武政権・南朝の恩賞政策】
9 建武政権と南朝は、武士に冷淡だったのか?  花田卓司

【南朝に仕えた廷臣たち】
10 文書行政からみた〈南朝の忠臣〉は誰か?  杉山 巖

【中世の宗教と王権】
11 後醍醐は、本当に〈異形〉の天皇だったのか?  大塚紀弘

第4部 南朝のその後

【関東・奥羽情勢と南北朝内乱】
12 鎌倉府と「南朝方」の対立関係は、本当にあったのか?  石橋一展

【南朝と九州】
13「征西将軍府」は、独立王国を目指していたのか?  三浦龍昭

【南北朝合一と、その後】
14「後南朝」の再興運動を利用した勢力とは?  久保木圭一

【平泉澄と史学研究】
15 戦前の南北朝時代研究と皇国史観  生駒哲郎

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今日の読書 北条氏康 関東に王道楽土を築いた男/伊東潤・板嶋恒明

戦国時代、相模国・武蔵国を領土としていた北条氏康について功績や知名度が低すぎるからもっと普及させようという狙いがあるんだろうなという解説書というものですね。

新書ですので基本的に誰にでも分かりやすい形にまとめていますし、伊東潤は学者ではなく作家ですので一次史料を使いながらも、同時に軍記物も利用し、軍記物はそのまま事実であるという扱いではなく、そう書かれた背景を考慮するというやり方で使っています。

北条氏康についての事ですが、前後関係も必要ということで、北条五代全員に触れることになっていますが、重要度は当然氏康であり、氏康のここが優秀だ、ここまで領民思いの戦国大名名いなかったんじゃないか、少なくとも史料に残っている大名は氏康しかいないし、近隣で名を残している大名である武田信玄や上杉謙信にはないものだらけという形ですね。

信玄や謙信がカリスマ的な支配をしていたのと比べて、北条氏は法と秩序を基本に置いていて個人頼みではないからこそ、氏康以降も安定していたという褒め言葉も出てきますが、逆にそれだからこそ地味な扱いになってしまったという事なんだろうなと思わずにはいられなかったり(苦笑)

個人的に反応してしまったのは、領地救済策の実例として武蔵国野蔦郷の年貢、段銭、懸銭、棟別銭の全てを免除したものが上げられていたりしますが、野蔦は現在の町田市野津田という聖地天空の城の所在地ですね、北条家関連のものを読んでいて面白いのは、近所が絡む事があるということでしょうねぇ。

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今日の読書 行動経済学の逆襲/リチャード・セイラー

経済学に限らずですが、いわゆる社会科学系の学問は、現実社会を分析する学問であるはずです。

しかし、その分析結果が現実社会と乖離している事はままあるわけで、その時に一番頭の悪い言い訳は現実社会の方が間違っているというようなものですね、他国の場合は分かりませんが日本の場合、学者というか評論家というような肩書きとして正しいのかどうかよく分からないような人がメディアでしたり顔で分析を披露しておきながら、結果が大きく外れるような時に自分の分析がおかしかったというよりも、社会の方が間違っていると言いがち、とりたて選挙結果のように予想と結果が即座に分かるような物で、持論と大きく乖離する結果になればなるほど、そういう事を言いがちかなあと思うのですが、とかく社会科学系は絶対正しいという分析を提示するのは難しいなということで。

経済学というと、この本では最初に社会科学系の学問の中では一番花形であり、実際に政治分野に一番影響力があるという前書きに書かれていたりしますが、この前提が日本では当てはまらないというか、どうにも胡散臭いというか金儲け至上主義的な扱いを受け、一番政治分野に影響力を与えている社会科学系の学問は法学であり、日本の政治の問題点として法学部出身者が幅を利かせすぎ、法曹界出身者を必要以上に持ち上げすぎだと個人的に思っていて、むしろ弁護士出身の政治家ほど物事を対決や対立でしか考えない職業病に囚われている扱いをしてしまいますが、そえはそれとして別の話であり、また経済学を通ってきていても日本の場合アメリカと大きな違いは、団塊の世代以上は近代経済学を通るのでは無く、マルクス経済学を通ってきてしまっていて、経済政策決定に屁の役にも立っていないのが問題点だろうと思わずにはいられないのですが、それはまた別の話。

日本の場合、アメリカと比べて何周も遅れているのが、市場原理主義という言葉が小泉純一郎政権以降に使われはじめ、使われ始めたのは良いのですが、それが意味するところを理解しないまま罵倒語としてだけ使ったり、官民を単純に対立構造としてだけ見なして、官僚主導が絶対悪で、民間主導の方が間違いがない扱いにしてみたりと、その時々で誰を悪と見なしたいのかで使い分けているだけじゃないかと穿った見方しかできなくなっているのに頭を抱えざるを得ないのですが、それら全てをひっくるめて、裏を返せば何ならば絶対に成功するというものがあり得るという幻想を抱いているという事になるのでしょう。

理論経済学では、人は合理的に行動するので短期的に失敗に見えることが起きたとしても、修正されて収まるところにきちんと収まるという優秀な人々を前提に理論が構築されてきました。

特に、経済学が発展した大きな要素として数式で表されるようになると、それが顕著になり、数式に収まりの悪い要素、人間ってそんな合理的じゃないよねという疑問をきれいにスルーしてきて、理論が発展すればするほど現実と乖離する結果を招いてしまい、どうにも経済学を知らない人ほど胡散臭いものへとなってしまったのではないかと。

そういった、合理的な人々の集団で成り立つとされてきた理論経済学に対して、そんな現実と乖離した人間なんていないと、もっと人間がどう行動するのか分析した上で理論構築をしないといけないというのが行動経済学になります。

その行動経済学の進展というか筆者の研究の進展を時系列で追いながら、経済学理論への疑問から、それを明らかにするために研究してきた経過を書き留めていく方式で進むのですが、単に理論の説明では無く、その時々で起きたこと、ボロカス扱いされたであるとか、誰かの助けを借りたとか、実験前にたてた予測と違った結果になったとか、普通に読み物として面白く読める体裁になっています。

行動経済学というのはざっくり言うと、心理学の要素を経済学に組み込んでいくものであり、個人的に興味を持って関連する物を何冊か読んでいて、それなりに前知識はあるのですが、借りに前知識が無かったとしても、理解出来ない所はそれはそれとして、こういう研究をしている人がいて、こういう苦労をしたりしているんだねという読み方が出来るのではないかと思えて、結構人に薦めやすいかなって思えますね。

そして最後に今後の経済学期待することとして、行動経済学のマクロ経済学分野への応用というのが出てきますが、これは心底私は望んでいることだったりします。

第1部 エコンの経済学に疑問を抱く 1970~78年
 第 1章 経済学にとって“無関係”なこと
 第 2章 観戦チケットと保有効果
 第 3章 黒板の「おかしな行動リスト」
 第 4章 カーネマンの「価値理論」という衝撃
 第 5章 “神”を追いかけて西海岸へ
 第 6章 大御所から受けた「棒打ち刑」

第2部 メンタル・アカウンティングで行動を読み解く 1979~85年
 第 7章 お得感とぼったくり感
 第 8章 サンクコストは無視できない
 第 9章 お金にラベルはつけられない?
 第10章 勝っている時の心理、負けている時の心理

第3部 セルフコントロール問題に取り組む 1975~88年
 第11章 いま消費するか、後で消費するか
 第12章 自分の中にいる「計画者」と「実行者」

幕 間
 第13章 行動経済学とビジネス戦略

第4部 カーネマンの研究室に入り浸る 1984~85年
 第14章 何を「公正」と感じるか
 第15章 不公正な人は罰したい
 第16章 マグカップの「インスタント保有効果」

第5部 経済学者と闘う 1986~94年
 第17章 論争の幕開け
 第18章 アノマリーを連載する
 第19章 最強チームの結成
 第20章 「狭いフレーミング」は損になる

第6部 効率的市場仮説に抗う 1983~2003年
 第21章 市場に勝つことはできない?
 第22章 株式市場は過剰反応を起こす
 第23章 勝ち組の方が負け組よりリスクが高い
 第24章 価格は正しくない!
 第25章 一物一価のウソ
 第26章 市場は足し算と引き算ができない

第7部 シカゴ大学に赴任する 1995年~現在
 第27章 「法と経済学」に挑む
 第28章 研究室を「公正」に割り振る
 第29章 ドラフト指名の不合理
 第30章 ゲーム番組出場者の「おかしな行動」

第8部 意思決定をナッジする 2004年~現在
 第31章 貯蓄を促す仕掛け
 第32章 予測可能なエラーを減らす
 第33章 行動科学とイギリス気鋭の政治家たち
  終章  今後の経済学に期待すること

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今日の読書 プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア 小泉悠

現在世界中を見回してみて、存在感のある政治家としてプーチンほど長い間その地位を守ってきた人はいないのではないかと思います。

最初に大統領になったのが2000年ですから、そこからずっと1度大統領を任期満了しておきながら、首相になってなおかつ大統領に再選するという荒技を使って国家元首を続けてきているというだけで、ある意味驚きですが、そのおかげでプーチンに絡んだ書籍も沢山目にしてきました。

いろいろと読んできた中でも私もまだまだ知らない事だらけだなと本書を読んで思わされたのは、プーチンに力点は置いていますが、基本ロシアの現状分析とロシアを分析する上での前提条件として、思考そのものの根本的な違いを軸に、軍事や安全保障をメインに扱っているという事ですね。

どうにも、軍事系の知識は疎いので理解しきれていないのですが、ロシアの過大評価してもいけないし、過小評価してもいけない感はありありと伝わってきますね。

筆者が前に読んだ『大国の暴走』という米中露という大国が暴走する理由というのを、座談会形式でまとめたものの、ロシア担当だったということで、被る部分があるのですが、そのおかげでロシアの国家概念の違い、いわゆる国境線で別の国という近代国家のお約束ではなく、勢力圏という概念と、ソ連解体から勢力圏が削られていく事への危機感というのは、覚えておかなければいけないことだと理解を助けてくれましたし、ハードパワーとソフトパワーという概念の西側諸国との違い、ハードパワーというベタな軍事力とソフトパワーという文化的な影響力という一般的な西側諸国の使い方と違い、ロシアのソフトパワーはベタな軍事力ではない形での武力行使、テロリストや一般人の暴動というかたいのものと想定しているという事。

認識の違いを理解しておくというのは、改めて重要ですし、日本とロシアの連携が仮に強くなるにせよ、価値観を共有していないという理解をもっておいて、互いに都合の良い解釈のしあいにならないようにすることは大事だよなと思わされるものですね。


序 章 プーチンの目から見た世界
第1章 プーチンの対NATO政策
     1ロシア軍の復活
     2NATOに対する「弱者の戦略」
     3ロシアの軍事力を支える「介入」と「拒否」
第2章 ウクライナ紛争とロシア 「ハイブリッド戦争」の実際
     1「ハイブリッド戦争」の方法論
     2クリミア半島電撃戦
     3泥沼化するドンバス紛争 もう1つの「ハイブリッド戦争」
     4ロシアにとっての「ハイブリッド戦争」
第3章 「核大国」ロシア
     1ロシアと「核なき世界」
     2積極隠しようドクトリンへの傾斜?
第4章 旧ソ連諸国との安易ならざる関係
     1不信の同盟CSTO
     2「同盟」のレゾンデートル
     3ミンスクに「礼儀正しい人」が現れる日
第5章 ロシアのアジア・太平洋戦略
     1日中露の三角関係
     2極東ロシアの軍事力
第6章 ロシアの安全保障と宗教
     1宗教をめぐるポリティックス
     2ロシアの安全保障と「イスラム・ファクター」
     3「イスラム国」とロシア
第7章 軍事とクレムリン
     1「シロヴィキ」の台頭
     2シロヴィキをめぐる軋轢
     3「国家親衛軍」をめぐって
第8章 岐路に立つ「宇宙大国」ロシア
     1宇宙作戦能力の回復
     2宇宙産業の建て直しはなるか
     3もう1つの重要課題 外国依存からの脱却

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