今日の読書 愛さずにいられない/北村薫

『書かずにはいられない』『読まずにはいられない』に続く北村薫のエッセイ集になります。

厳密にテーマを絞って書かれているものではなく、過去に書かれたものを緩めにまとめている感じですね。

本について書かれているものが多いですが、それとは別に懐かしい話として、まだテレビが各家庭に当たり前のように無かった幼少期を過ごした最後の世代ということで、ラジオを聞いて育った、ラジオから流れてくる落語に触れたことによって落語好きになったということなど、好きなものを集めていますね。

1992年に書かれたものから2016年までと時期が広いので、ネタとして懐かしさを通り越して記憶をたぐり寄せる必要のあるものだったりするのが難点といえば難点ですが、時代を振り返るものとして読むというのも悪くはないかもしれないですね。

短いエッセイの寄せ集めでもあり、ちょっとした空き時間に読みやすいというのは利点ですね。

テーマ : 読んだ本の感想等
ジャンル : 小説・文学

今日の読書 「リベラル」がうさんくさいのには理由がある/橘玲

本書のタイトルではないですが、いわゆるリベラルの看板を掲げ発言をしたり、社会評論をしたり、政策を提案したり評価したりしている人々がどうにもうさんくさいと感じたことがある人は私だけでは無いはずです、ある意味それが浸透しすぎてリベラルという概念そのものがうさんくさい、もしくは現実社会と乖離した空想理想主義でしかないと思われ始めているというか、そういうレッテルにすらなっている場合もあるのではと思える節もあるのではと。

私は社会思想であるとか、政治思想に関する学問的バックボーンは持ち得ていません。

ですので、それが実際に当たっているかどうかは別として私が思う本来のリベラルという立ち位置ってこういうものだろうなとぼんやりと定義づけしているのは、本当の意味での中道なのではないかなと。

リベラルというのは元々、既成概念からの逸脱して自由になるということを出発点としてるはず。

身分や人種、宗教や性別などなど伝統的に価値固定されたものに対して、その伝統は本当に根拠のあるものなのか、価値固定主義は誤りなのではないか、そのしがらみから自由になって固定化された価値観以外の生き方を認められてしかるべきでは無いのかというものなのではないかと。

そういった出発点を持っているからこそ、価値固定主義、単純な二項対立構造によって生まれながら善悪が決まっているようなものへの反発が強いはず、ある意味単純な二項対立構造こそを逸脱し自由な思考を得る物がリベラルであると勝手に解釈しています。

しかし、どうにも現在リベラルがうさんくさいものとして扱われている裏側には、リベラルの看板を掲げて主張する人が、単純な二項対立構造であるとか、単純な善悪価値固定主義に陥っているのではないかと思える事例が山ほど出てきているのではないか。

例えば人種差別、人種差別は決して許してはいけないものですが、差別による被害者と加害者の立場を考えるときにこれを安易に被害者を善、加害者を悪という単純な二項対立構造に組み込むと新たな人種差別を生み出す事になる。

被害者は被害者であってそれだけで善という立場を得るわけではないですし、加害者は加害者であったというだけで、存在を全否定されたり子々孫々悪のレッテルを背負い続ける必要は無い。

しかし、単純な二項対立構造は分かりやすく力強いので安易にこの構造に全てを組み込もうとしてしまいがちですし、いわゆるリベラルは差別者サイドに立つので一方的に肩を持ちがちであり、例えば単純に性格破綻者がいたとして皆から嫌われたとする。

その場合伝統的に差別される側出身者が差別してきた側出身者に嫌われた場合、性格破綻者だから嫌われたという事実よりも、出自が原因だから嫌われたから差別だと話をすり替えることが可能になり、またそれに対する公正な検証よりも、人種差別として扱った方がより優秀なリベラルであるかのような錯覚に陥りがちで、事実関係よりも持論の方が大事という新たな固定概念が出来上がり、リベラルという看板を使った善悪価値固定主義が出来上がり、意味が分からなくなるという残念な結果を招いてしまう。

そこらへんからも、本来のリベラルというのは、単純な善悪価値固定主義から自由であるためには常に自己批判をし続けなければいけない、自分の善であるという判断は他者に受け入れられない事もあり得るし、また他者が自分と違う善の価値観を持っていても、それを真っ向から全否定すると言う事は自由を押しつけ、相手の自由を奪うと言う事になるという事は自覚し続けなければならないという、ある意味不自由なものと自覚しなければならないもの。

しかし、どうにも現在のリベラルの看板を掲げている人は、他者の思考を全否定する自由だけは行使するけれども、他者が自分の思考を否定する自由は認めようとしないという保守的な傾向が強くなっていて、なんだかなぁと。

前置きが長くなりすぎましたが、本書の感想の方に戻りましょう。

本書は基本敵には週刊プレイボーイに連載している社会問題の時事批評に、書き下ろしを加えてタイトルに合せた形でまとめたものであり、主に日本のリベラルが世界基準とはかけ離れているという指摘するものになっています。

私が本来のリベラルというのは中道を意味するものなんじゃ無いのかというのに対し、日本の場合リベラルという看板は中道を意味するのではなく左翼や極左を意味する物になっていて、正確な検証よりも都合の良いところだけ抜き出したり、自分が悪だと定義した相手であればどれだけ誹謗中傷したとしても構わないとする差別主義が根強く残っているというのがある意味全てですね。

労働問題であれば、正規雇用と非正規雇用、サービス残業という奴隷契約などリベラルを掲げるマスメディアが批判すべきものが、実は自分達も同じ差別をして放置している、それをよしとしているダブルスタンダードであって、情報発信側がこれじゃあ説得力もへったくれも無いよねと。

憲法解釈にしてもリベラルこそ憲法9条改正を叫んで、自衛隊というあやふやな立場にしておくのではなく、軍としてしっかりと存在させて、軍の意義として何よりも国民を守るものであると明示させるべきなんていうのも出てきますが、まぁここら辺も日本のいわゆるリベラルの看板を使っている人からは出てこないものであったりしますしね。

結局リベラルという看板を使っている人が、自分の固定概念から自由になっていない、またその固定概念を絶対正しいという立場から、それを受け入れない人を批判する一方という、非寛容がまかり通っているということですね。

書かれていること全てが納得出来るかというと、私はそうではありませんが現在の日本のいわゆるリベラルの看板を掲げている人の欺瞞を感じるのであれば、目を通すのも悪くはないかと思えます。

単純に極左が自分を偽ってリベラルを自称しているだけという結論を出しての極左批判と受け止めても良いかもしれないですし、自分が正義と定義づけして相手の立場を何も考えていないというのは実はそれだけで差別主義者であると思っておけばいいのかもしれないですが。


はじめに 「リベラル」が嫌いなリベラリストへ
Part0  「リベラル」の失敗 「沖縄『集団自決』裁判」とはなんだったのか
Part1  不思議の国のリベラリズム
Part2  日本人の働き方はこんなに変
Part3  テロと宗教
Part4  素晴らしい理想社会
Epilog  まっとうなリベラリズムを再生するには

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今日の読書 暗闘/山口敬之

元TBSのワシントン支局長で、ベトナム戦争当時の韓国軍慰安所の存在を指摘するアメリカの公文書に関する調査報道記事を週刊文春に発表した後、局側の言論弾圧によりワシントン支局長の任を解かれて営業へ異動させられTBSを退社したことでおなじみのジャーナリストである氏による2016年後半の安倍首相の外交に関するノンフィクション作品になります。

安倍首相、トランプ大統領、プーチン大統領とリベラル系の報道機関からは独裁者だのナショナリストだの、概ね全否定する立場からの批判が噴出する政治指導者となりますが、そういう善悪価値固定主義的な予断を抜きにして、安倍首相が外交としてアメリカやロシアとどう交渉してきたか、何を狙い何を妥協し何を貫こうとしてきたかをまとめた物になります。

安倍首相に関しては、私は全否定も全肯定もしないという立場にたっていますが、ここに書かれていることは基本的には肯定出来ることが多めに指摘されています。

外交手腕ということに関しては、日本の歴代の政治家の中でも高い評価を与えていいと思っていますが、どうにも安倍首相の悲願である戦後レジームからの脱却ということは絶対悪であるという価値で硬直している人には受け入れられない存在であり、また日本の戦後から綿々と続いている自虐史観であるとか、戦時中の責任は未来永劫背負い続け、一生剥がせないレッテルであり、だから未来永劫周辺国に唯々諾々と金を払い続ける事こそが正義と信じて疑わない人にとっては全否定するしかないないんだろうなというのは分かりやすいですね。

アメリカとの外交では表看板としては素晴らしいリベラリストかのように持ち上げられたオバマ政権が日本にとってはいかに不利益だったか、アジアの現状に無関心で無自覚な親中派が中国の増長を招き、アジアの安全を脅かす結果になってしまい、それを払拭するために奮闘する構図、いかに日米同盟が重要であるかファクトを並べ立て、同時にいかに中国が好戦的に周囲を脅かしているかのファクトを並べたりということをしているわけですが、大きなポイントはアメリカ大統領選挙で多くの人がヒラリー・クリントンが勝利すると予想する中、片手落ちにならないようにトランプ陣営との接点を見いだすように指示し、とにかく予断によって勝手に結論づけないように手回しをさせている事ですね。

批判されたり馬鹿にされることが多い安倍首相ですが、ある意味前回首相になったときの失敗を踏まえ、自分の限界を知り、準備の大切さやメディアの流す情報に踊らされることの無意味さを分かっているからこそ、トランプ大統領誕生の可能性を捨てきらず、他国に先駆けて手回しが出来たと言う事になったと思うと感慨深くもあります。

トランプ大統領に関しても巷間でいわれるようなめちゃくちゃな側面ばかりではなく、ビジネスの成功者として、ファクトを示して論理的に説明すれば話を理解するし、ある種下品な発言なども踏まえて話が通じない人のようでいて、それだけではない側面などにもふれています。

プーチン大統領にしても、強行派というだけではなく、協力体制を取ることも出来る柔軟性も持ち得ている事などもふれていたりもします。

とりあえず、基本全肯定や全否定、善悪価値固定主義など二項対立的に物事を見ているとどうしようも無いというのが外交というか政治だよねとなっていますね。

安倍政治を許さないと盛んに首相全否定をする野党やメディアの人は、本気で倒したいと思っているのならば清濁併せ呑み、自分達も濁があるという自覚を持たないことには恐らく太刀打ちできないだろうなぁというのが個人的な感想、少なくとも保守という看板を掲げながら、保守が喜ばないこと(真珠湾攻撃に関する哀悼の意を表したり)も平気で出来る首相であるという事は好きか嫌いかを横に置いて一定以上の評価をしておかないといけないでしょう。

今の時代、少なくともメディアに関しては単純な二項対立構造で説明することに無理が出てきているどころか、信頼を失う結果にしか繋がりません。

ここに書かれていることが全部本当かどうか私には判断が出来ませんが、少なくとも全否定をしたい人はこれを上回る状況判断力と信念を持ち得ないと勝ち目はないなと思えました。

第1章 安倍・トランプ会談の衝撃
第2章 トランプ陣営の正体
第3章 安倍・トランプ時代の日米関係
第4章 官邸と外務省の暗闘
第5章 日露交渉
最終章 安倍外交が目指すもの

 

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今日の読書 富国と強兵 地政経済学序説/中野剛志

政治や経済など、いわゆる社会学分野の学問であるとか、その学問的裏付けをある程度利用した社会分析がどうにも現実社会と乖離しているのではないかという疑問を持たない人というのは恐らくいないと思います。

学問的なものと固く考えなくても、いわゆる報道による社会分析の外しっぷり、もしくは政治経済政策が狙ったように嵌まらないことなどでも、理論上大外しはしないはずなのに大外しをする事など枚挙にいとまが無いでしょう。

そういった外しっぷりが酷いのは理論上上手くいくはずという理論そのものが現実社会と乖離しているからと考えるのはある程度自然のの事だと思いますし、その現実と乖離した社会学分野の理論の問題は、総合的な分析から、学問分野別に細分化していった結果と考えるのはある意味普通ではあるでしょう。

しかし、その普通が出来ないのもまた社会学系の限界というか、いわゆる理系分野であれば実験によう検証がしやすく、物事を単純化したところから積み重ねて複雑な実験まで可能になるのに対し、実社会はそもそも実験ができない、理論上正しいはずという仮説を思いついたとしても証明手段がそもそもあり得ない。

また、現実社会を分析したとしても、専門分野外の事を横に置くと、その横に置いた部分こそが重要であると言うことを見過ごすことになり、そもそも理論上都合が悪いからこそ横に置くという恣意的な結論を導くことも往々にしてあり得ると。

そういった、分野別に専門化した弊害を正すためにも今度は逆に統合的に持っていこうというのが、地政経済学というものの狙いで、地政学と経済学は不可分、政治と経済は密接に繋がっているし、軍事条件と社会福祉は密接に繋がっているし、何か1つだけ取り上げても結局は現実と乖離するだけというのを説明しようとしています。

地政学という分野に関しては私はほぼほぼ無知、強いて言えば歴史上の出来事をそれぞれの土地の条件によって分析すれば、条件によって文化や行動様式がある程度決まるということは普通のことだろうなというのと、普遍的な価値観はそれはそれとして地球規模で共通して持ち得るものはあるが、ほぼほぼ普遍性は無い、世の中分かり合えることもあるけれども、分かり合えないこともあり、むしろ分かり合えないことなど何もないという理論で物事を進めると危険でしかないというのは感覚的に思っているものですね。

私のぼんやりと思っている、アンチグローバルと市場原理批判これを論理的にまとめてくれたものがこの1冊になるかなぁと思えるものでした。

アンチグローバル主義というと、今のご時世、差別主義者であるとか時代遅れというようなレッテルがすぐに貼られてしまいますが、私の考えているあるべきグローバルというのは、基本それぞれの国家は土着至上主義(本当は民族国家と言いたいところですが、現段階で出生地と民族が一致しない国家があるので一概には言わず)それぞれが一定以上の独自性を持ち、それぞれのお国柄や特徴を生かしたつきあい方ができる形にするべきという考え方ですね、例えば名前などを見て何人っぽいと見当がつくようなものとか。

しかし、現在のグローバル化というのはその逆で地球規模の全体主義や平準化という様相も含んでいたりして理想とは逆に行っているとしか思えない。

その最たるものが経済学の影響、いわゆる主流派経済学といわれる古典、新古典派の流れの自由主義であり、貿易をすればするほど社会はよくなる、関税をなくせばなくすほどよくなるという昨今の巷説はまさにそうですね。

経済学を学べば早い段階で比較優位論という貿易をする意味を学ぶわけですが、これがどうしても理論上理解は出来ても感覚的に拒否したくなるものであり続けているわけですが、ようは国際的分業と同時に比較優位に特化する事による国内産業の単純化、モノカルチャー化推奨にしか思えず、産業構造の変化に対するリスク細分化を真っ向否定するようにしか思えないわけですね。

そういった私が感覚的に理論ではそうだけれどもなぁと受け入れがたいと感じていて、でもじゃあ理論的にどう反論するかというと自分では理論構築はできないものを説明してくれているのを感じます。

基本経済学分野に関しては主流派経済学批判とさらに言うと主流派経済学であると理解しないままその理論を使っている人批判。

こと日本に当てはめると、財政再建至上主義あたりはそうでしょうかね、不況を脱するためには財政赤字をガンガン増やすことこそが理論上健全であるという事に大して、日本ではとかく財政赤字を問題視して、やれ日本破綻だと喧伝するような人だらけ、社会福祉が必要だと叫びながら経済政策は小さい政府を志向する捻れに気付かない人だらけと、日本の国内問題に当てはめるとなかなか面白く感じるものもあり、同時に野党時代に市場原理主義を批判していた人達が、ガンガン民営化こそ正義みたいな事をやり雇用創出どころか経済を不安定化させるという意味不明な事をやり、社会実験としては改めて雇用政策は市場主導では無理と証明するという、ブラックジョークもあり面白くないものもあり。

また、社会福祉の発展はそれこそ軍事と切り離せないという解説あたりは、日本の自称平和主義者あたりに読ませると発狂するんじゃないかと思えるくらいの分析もなされており、改めて地政学という戦争を含む国家的な問題分析をないがしろにしてはいけないというあたりも面白く読めますね。

全体的に非常に面白いのですが、問題は社会学分野の統合を狙っているだけに、それぞれをおろそかにできないということで、非常に長く扱っているもの全部に触れようとするとそれぞれの章ごとに論文を書けと言われているようなことになり難しくなるということですかね。

いわゆる専門書として読むのならば分かりやすいのですが(少なくとも経済学の専門書として読むのならば、数字やグラフが出てこないので、専門外の人も読みやすい)じゃあ一般書として読むとなると、社会学分野について何かしら既に囓っておかないと結構きついということで難しい部類に入る。

多くの人が読んだのならば、これを受け入れるかどうかは別として大いに異議があるとは思うのですが、簡単に人に薦めるにはハードルが高すぎる。

とりあえず、無いがしかの政治運動をしている人は必読書にしておいた方が良いですね、物事の単純化や極論化、単純な善悪二元論、戦争全否定論などなどについて考える事になるでしょうし良いとは思いますが、読む必要性がありそうな人ほど読まないだろうなと思ってみたり。

私のようにぼんやりと、市場原理主義への批判であるとか、国家間の関係は混ぜるな危険があると思っている人、戦争を絶対悪として考える事すら否定するという人こそがむしろ危険で戦争に向かわせているのではと感じている人。

そういったものに何かしら引っかかりを感じた人は、そのぼんやりと思っている事を補完してくれる1冊になっていると思います。


序 章 地政学と経済学

第1章 貨幣と領土

第2章 資本主義の不安定性

第3章 通貨と財政

第4章 領土の政治経済学

第5章 戦争と国家

第6章 資本と強制

第7章 第一次産業革命の地政経済学

第8章 第二次産業革命の地政経済学

第9章 ハルフォード・マッキンダー(1)

第10章 貿易の地政経済学

第11章 ハルフォード・マッキンダー(2)

第12章 戦争の経済的帰結(1)

第13章 制度経済学

第14章 戦争の経済的帰結(2)

第15章 経済成長の地政経済学

第16章 平和の経済的帰結

第17章 東アジアの地政経済学

第18章 領域国家と通商国家

終 章 地政経済学とは何か

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今日の読書 どうなる世界経済 入門国際経済学/伊藤元重

国際経済について、筆者が行った社会人向けセミナーをまとめたもので、講義を聴いている形で学ぶ形式のものですね。

経済学部の学生向けではなく社会人向けということで、理論的なものは学説によってというよりも現実経済で起きていることをメインに、数式を用いずに説明し、極論は廃して今現在悪化しているものがあっても全否定ではなく、いくつかの可能性の提示までに収めている講義だから当たり前ですが、テレビ番組の解説とかだともう少し極論に走りそうだなとか、何か叩く材料を見つけて叩くんだよなぁとか余計な事を考えてしまったりしますが、そういう視点を持つ方がある意味おかしいのですよね。

国際経済ということで、貿易であるとか通貨の問題というわけですが、基本スタンスとしては保護貿易によるマイナス面に力点を置き自由貿易のプラス面に力点をおいているのは感じますね、まぁ公平さや公正さをどうするのかという問題点、二国間合意ということですと、かつての日米貿易摩擦交渉という悪条件があったからこそTPPのような枠組みは政治的な殴り合いになる事を避ける意味があるという扱いになっていたりしますので、私のように行きすぎた自由貿易は理論上上手くいくとしても、現実では不満の方が高まりやすく理論と現実が乖離してしまうという危惧を持っているとどうだろ?というのはありますね。

個人的には、国際金融のトリレンマという①為替レートを固定する②独自の財政金融政策を実行する③自由な貿易や投資を認める、この3つを同時に達成することは不可能という概念を知ることでぼんやりと理解していた問題点が結構分かる感じになりましたね。

統一通貨ユーロの問題点として、②の独自の財政金融政策の実行ができないことが、ギリシャ財政破綻の立て直しを困難にしているという例は分かりやすいというか、手をこまねいていなければならない状況になっているそもそもの原因だと思っていましたが、国際金融のトリレンマという永遠の難題と考えれば分かりやすいと。

講義形式をまとめているので比較的に簡単に読めますし、マスメディアで何かというとすぐ極論の結論を煽っているのを何だかなぁと思うけれども、今ひとつぼんやりとしているという人が読むといろいろとすっと入ってくるかもしれません。

逆に分かりやすく極論で煽るようなもの、それこそ中国の問題を扱っているところで、ボロカスの結論を導いてくれることを期待するとかいう人には物足りないかもしれません。

はじめに
ガイダンス 国際経済学で日本と世界をつかめ
      1どうして国際経済学が必要か
      2中国経済はソフトランディングできる?
      3イギリスのEU離脱で始まる大きな変化とは?
      4新大統領でアメリカのTPP政策はどうなる?
      5本書の構成
 
第一講義 ざっくりわかるTPP
      1国際経済学の重要な指標
      2TPPはどこが画期的なのか
      3日本の選択
      4WTOの果たした役割

第二講義 「国際収支」と「為替レート」再入門
      1国際収支とは何か
      2為替レートと日本の競争力

第三講義 通貨制度から見るEUの未来
      1国際金融のトリレンマ
      2発展途上国と固定相場制
      3ユーロの導入

第四講義 比較優位理論とグラビティ・モデル
      1比較優位
      2自由貿易体制の確立と貿易摩擦
      3グラビティ・モデル

第五講義 中国は”先進国”になれるか?
      1BRICsをめぐる国際金融フロー
      2ミドルインカムトラップのメカニズム
      3中国のたどる道
      4地球温暖化と国際経済
おわりに 


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